DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル の感想

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参照データ

タイトルDSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
発売日販売日未定
販売元医学書院
JANコード9784260019071
カテゴリ » ジャンル別 » 医学・薬学・看護学・歯科学 » 精神医学

購入者の感想

内容がどうの、という問題ではない。
日本の精神医療で、DSM精神疾患マニュアルも導入された以上、専門は必読でしょう。

ただ、日本の医師及び医学生が、英文(原文)のままで読破できない人が増えているのが困ったことです。
母国語に翻訳された「DSM」があるのは、アジア圏においては日本のみです。
東南アジア諸国を含めて、最低でも英文で読みこなす、論文を書く、学会で発表するというのは基本的なスキルとして当たり前に持っていますから、翻訳本に依存しないでほしいところです。

が!!
日本の「DSM-5」でぶったまげたのは、やっぱりなと思っていましたが、原書にはない「病名」と細かい分類がなされている、ということが実はあります。
ただでさえ、「DSM-4」にはなかった、さらに新たに追加された「病名」などがある上に・・・・・・。
日本独自の「うつ病」が存在するゆえに、まあ、ただの翻訳ではすまない。
そのために、翻訳版DSMも必要になる、という、まあ、そういうカラクリで翻訳があるんですね、日本の精神医学って。

それゆえに本書が二万円ほどの高額なものとなるのも、まあ、うなづけます。

ポケットマニュアルとは異なり、こちらは各診断の成立や論理、それぞれの診断間での整合性などについて詳述されています。DSM-5とは何かを知る上では欠かすことの出来ない書です。ただ、あくまでも診断・統計マニュアルであるため、記載は無味乾燥で面白味に欠けるのですが、これは欠点ではなく本書の性質上、致し方の無い側面でしょう。ということで、患者さんやそのご家族の方など、精神科医以外の方に対しては、DSM-5ポケットマニュアルよりはマシですが、あまり積極的にお勧めもしません。

臨床現場へのDSM-5の浸透だけでなく、他のレビュアーの方がご指摘になっている通り、米国以外の精神科医とのコミュニケーションに必須かどうかは疑問が残ります。ただ、米国の精神科医の間には既にDSM-5が広く浸透しているようですから、日本人もこれを避けて良いわけではないでしょうね。ICD-11に関してはWHOもDSMとのダブルスタンダードを懸念しているようですが、世界の精神医療の現場では両者の弁証法的発展がなされることを期待しております。

精神医学ではICD-10とDSM-5の2つの診断基準が用いられています。WHOが公衆衛生の統計を目的に、精神医学のみならず全領域のために作ったのがICDであり、現時点ではICD-10が用いられ、しばしば公的な書類で求められます。そして、米国精神医学会が研究と臨床を目的に作成したのがDSMであり、2013年5月にDSM-5が発表され、その日本語版が2014年5月に発売されました。DSM-IVでは分厚い本と、その要点を抜粋したポケット版がありましたが、2014年9月現在、DSM-5の日本語版は分厚いものだけで、ハンドブックはまだ先のことです。
アルゴリズムに基づくその診断基準については、様々な議論があるものです。ただ、精神医療に携わる以上、避けては通れない存在といえるでしょう。

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