四つ話のクローバー の感想

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参照データ

タイトル四つ話のクローバー
発売日販売日未定
製作者水野 敬也
販売元文響社
JANコード9784905073017
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

自己啓発にありがちなドギツさを漂白し、決して内容を薄めることなく、さりげなくスッと大切なことを理解させてくれる水野氏の作風は、年々高まり、この作品で到達点に立ったのだと感じた。
奇妙な設定と、個性的な登場人物たち、そして全編に散りばめられたギャグを笑いながら読んでいるうちに、いつのまにか問題が自分自身に向けられている。物語はウェルメードな形で解決を迎えるが、本を閉じたとき、まだ「問い」はそこにあるままなのだ。

・第一話:たった一行で言い表せるという絶対の成功法則を聞きに行く主人公の話。確かにその「法則」は完璧だった。笑ってしまうほどに納得である。…でも、信じられない。その心理の動きにこそ、成功できない理由があるのだ、と“彼”は言う。

・第二話:一時期の○リエモンを思わせる金持ち社長と、最近話題の小池竜之介氏に成り損ねたような僧もどき(超貧乏!)がどちらが“幸せか”を競う大会をライブ中継。素晴らしい設定の妙。そしてどちらの人間からも学べる箇所がある掘り下げ方が見事。

・第三話:不運にも地縛霊になってしまった男が、転生を望み「あの世の学校」で奮闘するお話。自己啓発は何も「成功」だけじゃない。駅のホームのような公共の場での振る舞い一つが明日から変わることが素晴らしいのだと“彼”は教える。(私が水野氏の話が好きなのは常にこういう視点があるからなのだ。)

・第四話:死から逃れない宿命を背負ったある親子の話。深夜の遊園地でひっそりと行われる“行き先の決まった”旅はこの本の最後にふさわしい。夜明けが訪れ、一つの命が終わったとき、かすかな希望が残って、わたしたちは現実に戻る。

何でも、この作品は20本以上書かれた短編の中から選ばれたものであるらしい。
時代が変われば、考え方も変わる。常識も変わる。当然、人も。
ぜひ、水野氏にはその時代・その世代にあった「教え」をこれからも、こういった形で伝えていってほしいと思う。続編希望、ライフワーク化所望である。

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文響社から発売された水野 敬也の四つ話のクローバー(JAN:9784905073017)の感想と評価
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