【カラー版】怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道 (集英社文庫) の感想

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参照データ

タイトル【カラー版】怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道 (集英社文庫)
発売日2014-06-05
製作者高野秀行
販売元集英社
JANコード登録されていません
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日本のエッセー・随筆 » 近現代の作品

購入者の感想

 高野秀行作品を数冊以上読んでいるうち、高野本のおもしろさは、辺境でルポされるトピック自体にあるのではなく、つねに想定外の状況に踊らされ、あたふたと右往左往する(しかし、最後までくじけず土俵際でふんばる)高野氏の人間像にあることがわかってきました。
 本書も、他の方のレビューなどで、UMA自体にせまることはできなかった顛末が書かれていることを知りましたが、購入意欲は衰えず、注文して、期待にたがわぬ愉しい時間を過ごすことができました。

 トピックには期待していなかった、と書きましたが、ウモッカなる幻の魚の噂をどうやって知り、他のUMAとは違うものをびびっと感じて、インドまでの旅を思い立つにいたったか。そこにUMA好きの真骨頂を読み取ることができました。他のUMA愛好者がどんな人種なのかも、また唯一の情報をさりげなく提供したモッカ氏の意外な背景やら、お人柄やらも興味深く、このあたりから著者のUMA愛の本領に引き込まれてゆきます。自分もUMAは好きなつもりでいたのですが、学生時代からコンゴまで出かけていた高野氏のアンテナはやはり違い、これこそ本物だ、見つかったらものすごい発見かも、と、いつものごとく面倒な現地語を人を探して習い、みずから証拠固めのため、化石学者ら識者を訪ねて盛り上がってゆくところは冒険家の面目躍如です。これはすごい! 幻の魚ウモッカは、しっかり私の中にも根を下ろしてしまいました。

 そのあとで、高野氏ならではの人間ドラマの面白さが始まります。ありとあらゆる手はずを整え、輸送の手段まで考え、現地人に見せるための棘模型までモッカさんに作ってもらい、手配書も1000枚も作っていったのに・・・。話はそこで終わりにならず。同行を頼んだフリーターのキタ氏のみが現地まで行けるのですが、日本でやきもきしながら彼を、リモコン操縦のロボットのごとく操る高野氏。
 そしてキタ氏を襲う事件のかずかず。いっぽう出発したものの(本書は雑誌連載だったので、みんなに出発は知れ渡っています)日本にいる不甲斐なさに外にも出られず潜伏している自分を戯画化したり、いっそ、と自虐映画週間として、自分の状況と似た映画ばかり借りてきて浸ってみたり。

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