ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか の感想

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参照データ

タイトルゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか
発売日販売日未定
製作者ピーター・ティール
販売元NHK出版
JANコード9784140816585
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経営学・キャリア・MBA » 起業・開業

購入者の感想

ピーター・ティールはスタートアップを成功させるために教科書はない、自分の頭で考えろといっている。とはいえ、なんだかんだいってもビジョンとかやりきる意志とか未来思考とかそういうのが大事、スタートアップでは一緒にやる仲間がとにかく大事だから採用とかチームビルディングにとにかく妥協するな、良い物作ったからって売れるとは思うなよ営業とマーケティング大事、という基礎的なことについて角度を変えて言及している。

それに対して、瀧本哲史という経営コンサルタントが序文で「俺は著者が生きている本の仕事は受けないんだけどこいつは特別だ」にはじまりでやれリーンスタートアップを全面的に批判だとか、日本のスタートアップはスケールが小さいだとか、アクの強すぎる駄文を長々と垂れ流している。そういう自分はスタートアップの一つでも成功させたのかと、うんざりする。ピーターティールの主張が読みたいのであって、瀧本のそれが読みたくてこの本を手に取ったわけではない。ピーターの言葉にはペイパルを創業して exit させたという経験があるからこそ説得力がある一方、序文には何もない。

変な序文のせいで、本文の方も余計な文脈をもって読むハメになり素直に読めなかった。

本文の方も、散々煽った割には「じゃあどうしたらいいの?」という疑問に対しては「自分で考えろ」以上のことは述べられておらず、はい、そうですかという以上の感想はない。

「賛成する人がほとんどいない重要な真実は何ですか?」本書の冒頭に置かれたこの質問に答えられる者だけが社会を変える起業家になれる資格がある、と著者のピーター・ティールは言う。彼は、Facebook、リンクトイン、イェルプ、テラス・モーターズなどを発掘したことで高名なベンチャー・キャピタリストである。母校スタンフォード大での彼の講演をまとめたのが本書である。

タイトルが示すように、ティールは豊富な経験を基に「社会を変える新しい何かを創造する企業をどのように創り出す」方法を理論化している。最も強調しているのが、既存のもののコピーではなくて「世界を変えるようなイノベーション」である。それが見つかれば小さな市場でスタートし、独占市場に育て上げよ、と言う。そのためには自分の頭で考えて、10年先の未来の具体的なイメージを描けなければならない。「重要な真実」を見つければ、ちゃんと計画を立てて、大胆に投資して全力で取り組むのだ。偶然に頼ったり、分散投資したりしていては、成功は覚束ない。また、他の成功を真似て不毛な競争に晒されるのは利益が上がらず、自滅する道だと断言し、競争を忌み嫌っている。独占こそが起業を永続させ、高い利益を挙げ続ける唯一の方法であると推奨する。競争による自滅の例としてアメリカの航空業界を挙げ、独占による高収益の例として検索エンジンのグーグルを挙げる。ティールによれば、そもそもビジネスの目的は新しい価値を社会に提供するためであり、誰かを打ち負かすことではないのだ。

よきスタートアップを図るための起業ポイントを7つ挙げている。 1.エンジニアリング、2.タイミング、3.独占、4.人材、5.販売、6.永続性、7.隠れた真実。ここでの詳解は避けるが、私が印象に残ったのは以下のことである。創業者の重要な仕事は、初めにやるべきことを正しく行うことであり、土台に欠陥があっては偉大な企業を築くことはできない。少人数で俊敏に仕事をやり遂げないといけない。創業者の給与を低く抑え、身なりに気を使わずに、懸命に働け、と説くのである。

ドットコムバブルがはじけ、シリコンバレーでは次のようなことが起業の「新しい常識」となった。

1. 漸進主義
2. リーンスタートアップ
3. 革新より改良
4. 販売よりも製品

ティールはこのすべてに反論して以下のように主張する。

1. 大きな賭けをしろ 
2. 成功するための計画を持て
3. 競争するな
4. 販売は製品と同じくらい大切

本書ではなぜ彼がこのように考えるのかを簡潔かつ明解に説明している。もっとも刺激的なのは、競争は「存在しないチャンスがあるかのような妄想を抱かせる」イデオロギーであり、資本主義の対極にあるという主張だ。そして「独占」こそすべての成功企業の条件であると言い、独占状態を永続的に維持するには先行優位ではなく後発優位に着目すべしと説く。

未来は不透明だという「常識」に甘んじる態度にもティールはがまんがならない。彼は人間を次の二軸で四つのタイプに分類する。一つの軸は未来に対して曖昧なイメージを持っているか、具体的なイメージを持っているか。もう一つの軸は楽観主義か悲観主義か。結論から言うと、世界を変えるビジョナリーは「未来に対して具体的なイメージを持った楽観主義者」だという。未来に対して曖昧なイメージしかもっていないと無為か無謀に陥り、未来に悲観的だと享楽か逃避に走る。起業家はまず、「偶然」という不公平な暴君を拒絶しなければならない、というのがティールの考えだ。一言で言えば「人生は宝くじじゃない」ということ。「人生はポートフォリオじゃない」という名言も出てくる。そのこころは、人は自分の人生を分散することはできないから、圧倒的な価値を生み出すものにすべてをつぎ込む覚悟でやれということである。どんなに能力があっても起業向きでない人間が起業する必要はなく、超優良企業に入ったほうがリターンが大きい場合だって往々にしてあるのだからよく考えた方がいい、というわけだ。

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