境界の発生 (講談社学術文庫) の感想

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タイトル境界の発生 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者赤坂 憲雄
販売元講談社
JANコード9784061595491
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

著名な先人の引用と、根拠のない考察が延々と繰り返される。「ほぼ間違いない」「…と考えたい」とばかり述べられるが、原則として著者の想像以外の根拠は開示されない。ないしは「他の人も言っている」レベルである。そこで引かれるのも柳田、折口、レヴィ=ストロース…当時、先端的な着想であったことは必ずしも普遍性や真実性を意味しないのだが、研究に慣れない人はやりがちですよね。これを30代半ばで書いて許されるのか…いい時代だったんですね

 境界観念の発生と定着にまつわる論考をまとめた著作。先達が残した諸文献に現れるコトやモノを取り上げた上で著者独自の読みを加えていく方法で、古代の交通・琵琶法師・杖・人身御供譚・異人論・穢れ、それぞれを通じて境界がどう形成され、活性化され、内面化されるかについて考察している。

 文章のタッチや雰囲気には折口信夫・網野善彦・山口昌男などの影響が見受けられ、多くの研究者の意見が引用されているが、その分著者の個性が薄くなっていて、読後感が地味なのはそのせいもあるだろう。自分としては、風土記や記紀からの文を多く読めたのがいいし、古代の共同体へのイメージがよりはっきりしてきたのが楽しかった。読む前の「境界」についての感じ方と読んだ後のそれに違いがそれほどなかったのは事実だ。

 ある意味先行文献の注釈書としても読める一冊。本居宣長「宇比山踏」の記述を思い出した。

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