昭和史(上) の感想

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タイトル昭和史(上)
発売日2013-05-02
製作者中村 隆英
販売元東洋経済新報社
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購入者の感想

大正から昭和前期戦争までの歴史を俯瞰できた。
戦争の原因は軍部の暴走もあるが、政治の意思決定プロセスが、元老、枢密院といった存在があったり、内閣総理大臣も他の国務大臣程度の権限しかないなど、組織上の問題によるものが多いかったことが分かる。独裁一人ではなく、集団における、強い責任感が欠如した形での意思決定で多くのことが決まっていった時代。
そこに世界恐慌や飢饉、金解禁による緊縮財政等が重なり、国内だけでの問題解決が難しくなり、国民の目が満州に向けられ、アジア民族のヨーロッパからの解放思想という大上段のスタンスに繋がっていきながら、戦争開始に向けて、社会全体が向かっていく様子が納得できた。常識人さえ、その渦の中に巻き込まれていく様子は、とても怖い。
同じような事が、もしかして、気付かずに、今の日本で起きているかもしれない。。。
歴史を学び、そこからの反省を生かして、未来を築いていくことが、現世代の責任であることを痛感できる書籍です。

 書店で大量に平積みされていたので深く考えずに購入しましたが、とても勉強になりました。本書は政治経済だけでなく庶民の生活状況、文化(演劇等)の発展などかなり幅広いトピックを取り扱っていて読み応えがあります。特に経済面についてはかなり平易な記述になっているので、景気の波がどう起こったのか、政府がどう対応したのか、などは大変勉強になりました。現在と違って、政府のちょっとしたアクション(例:金利引き上げ)が国民生活に多大な影響を与えている様子がありありと浮かび上がります。

 一方政治面の記述ですが、これは正直私には厳しかったです。というのも初めて聞く日本人政治家の名前が多数出てくるので、途中からはWikipediaで政治家を検索し写真や説明を読みながら、本書を読み進めました。しかし一貫して伝わってくるのはこの時期の日本人の懸命さです。また日本を取り巻く外部環境についてもひしひしと伝わってきます。具体的にはソ連による領土拡張のプレッシャーや欧州大国によるアジアの植民地化です。逆に言えばこれらのプレッシャーがなければ日本は急速な工業化および経済発展を達成できなかっただろうと思います。そして戦争を回避するチャンスもありながら日中戦争および太平洋戦争に突入してしまった状況についても本書では詳細に解説されています。

 一方本書を読んで感じたのは現在の中国の動きと当時の日本との類似点です。太平洋戦争前の日本は明治維新後急激に工業化および経済発展を進めて新興国の一角となりましたが、急速な工業化による所得格差の拡大(そして当時の農民の悲惨な窮状に同情した陸軍士官らによるクーデター行為)、軍事力の増強、そして米国の経済制裁などもありエネルギー制約にぶつかり、インドシナへ侵攻してしまうなどの戦争行為に出てしまいました。ひるがえって現在の中国は本格的な経済発展をしはじめて30年以上たちますが、まさに国内の状況は昭和初期の日本に共通の問題を抱え、エネルギー制約も厳しくなっている中で、海洋権益を拡張しようと動いています。もちろん相違点も数多くありますが、戦前の日本と現在の中国にいくばくかの共通点を見つけ空恐ろしい気持ちになりました。

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