Remember me (15周年アニバーサリーボックス仕様 【シングルCD＋オリジナルTシャツ＋スペシャルグッズ】) の感想

くるりに関しては、つかずはなれずできいている立場です。
新作が出るたびに、チェックしていますし、この15年間、ずっと「つかずはなれず」です。
「東京」が出たときの衝撃は凄かったし、「ばらの花」も素晴らしかったし、「Jubiiee」もすばらしかったですが、
この曲は、、、、本当にいい曲だなーとつくづく感じました。

メンバーチェンジが激しくて逆に笑えますが、それでも芯が通った素敵なバンドだと思います。
Tシャツ、愛用しています。w

名曲「奇跡」には表現しがたい観念的な感動があった。この「Remember me」は、そこに具体的な景色を浮かび上がらせたような名曲である。
リスナーが身を委ねやすい素直な歌詞とメロディー。再びのコラボとなったウィーンアンバサーデオーケストラのストリングスとファンファンのトランペットが溶け合って、懐かしい情景や鮮やかな夕焼けを見せてくれる。
　
1トラック目と、歌のない2トラック目では映し出される景色が少し違う。奏でているメロディーは基本的に同じでも、やはりオーケストラメインだと異国情緒が増す感じがする。
そこで歌詞の力、中でも"味噌汁"という言葉の持つ季語のような趣の深さは凄いと感じた。この言葉ひとつで日本らしい日常感や暖かさを思い出させてくれる。しかも多くの日本人がイメージを共有できて、かつ、聴く人それぞれの家庭に寄り添う食べ物なんて、味噌汁以上のものはないのではないか。たしか「麦茶」にも似たようなことを思った気はするが。

そして、スケール感と親近感を絶妙な塩梅で感じさせてくれるのは、最近のくるりの音楽も同じである。それこそ、1曲の中で「遠く離れた場所」と「近くにいるような景色」を一度に感じさせてくれるセンス。懐かしいだけでは言い表せないものがある。

そんなくるりの巧みの技と和風だしの旨みをきかせた一曲「Remember me」。ウィーンの風味を取り入れつつも、その素朴な味わいは日本人の舌にこそ合う絶品である。