ミクロ経済学 の感想

神戸大学の芦谷先生による入門ミクロ経済学の教科書です。懇切丁寧な言葉＆グラフによる説明と、豊富な演習問題が特徴的で、特にミクロ経済学を独習したい人が選ぶ最初の１冊として最適ではないかと思います。経済分析の必須ツールとなりつつあるゲーム理論の基礎もきちんとカバーされています。本の帯に「過去２５年分の公務員採用試験と過去５年分の裁判所事務官採用試験を分析して、傾向にそった例題・練習問題９１問収録」とあり、資格試験用の対策本としても重宝しそうです。

邦書・洋書問わず初中級ミクロ経済学の最も優れたテキストであると断言できます。

最低限の数学的厳密さを保ちつつ、且つ簡潔明瞭な記述をされているのは感嘆の一言に尽きます。
私は非経済学部出身で大学時代に経済学の講義を履修したことはありませんでしたが、
ミクロ経済に関してはこの教科書と付属の演習本で独習しただけで東大の経済研究科から合格をいただきました。

また、従来双対性の説明を欠いているのが唯一惜しまれる点でしたが、
今では下記のページから共著者の先生方による補足説明のpdfファイルが無料でダウンロードできるようになったのでまさに完璧といえる教科書になりました。

https://sites.google.com/site/okunomicroeconomics/

ミクロ経済学の入門書。特徴としては、グラフを多用していること、価格理論だけではなくゲーム理論や不完全情報等の比較的新しいトピックについても解説していることが挙げられます。授業で教科書として使う分には問題ないのでしょうが、独学しようとする人には、体験的に以下のことをお勧めします。
○記述が若干前後することがあるので、途中分からない箇所があっても気にせず読み進めて、出来るだけ早く終わりまで通読してしまうこと。
○数学から長らく離れていた人はグラフの多用に少し戸惑うかもしれないが、読んでみると案外大したことは言っていないので怯まないこと。
○著者も勧めるとおり、初読の際は第２部の一般均衡分析は飛ばして、先に第３部のトピックのうち面白そうなものを拾い読みしてみること。
○トートロジカルに感じられる部分もあるが（特に第２部）、そういうものだと割り切って、あまり気にしないこと。
○演習は別の本を使った方がよいので、飛ばしてしまうこと。0

東京大学大学院工学系研究科　都市生活学・ネットワーク行動学研究室
（Behavior in Networks Research Unit）

リンク：http://bin.t.u-tokyo.ac.jp/index.php

[研究室]→[講座]→[2012年]→[ミクロ経済学勉強会2012]とたどると

東京大学の学生ら(?)によってまとめられた奥野ミクロの要約PDFがあります。

この補助資料のおかげで奥野ミクロが学部一回生や独習者にまで対象を広げたようになったと感じます。

後学の経済学徒らのために補助資料がずっと残っているといいなと思いました。　

本著の奥野ミクロに関しては文句なしで良いです。

数学の難易度レベルはセンター試験の勉強をやってきた人なら誰でも分かります(第一章の消費者行動が分からない人は、『経済学で出る数学(安田・尾山)』の第７章を参照）

内容は殆ど「抽象化された理論」で構成されており、沢山の現実問題を例にミクロ経済学を理解しようという趣旨の本(例えばスティングリッツなど。僕は例がとても冗長に感じ疲れます、レベルは奥野ミクロの方が高い)ではありません。

経済学をちゃんと学びたい人、最新のミクロ経済学を学びたい人、学部レベルのミクロ経済学を学びたい人、にオススメです。

読めば読むほど・理解すればするほど良さが分かって来る「スルメ」みたいな本です。0

私は、法学部出身ですが、大学院でミクロ経済学をする必要が生じた者です。
色々と専門書を買いましたが、結局この本が、非常にわかりやすく、かつ、ある程度深くまとめてられていました。ミクロ経済学に必要な数学の基礎部分も、簡潔にまとめており、まさに「かゆい所に手が届く」１冊だと思います。辞書としても使えるのでは。学生視点の良書。法学の教科書でいったら、「内田民法」のようなイメージです。