ケインズの予言 (PHP新書―幻想のグローバル資本主義 (079)) の感想

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タイトルケインズの予言 (PHP新書―幻想のグローバル資本主義 (079))
発売日販売日未定
製作者佐伯 啓思
販売元PHP研究所
JANコード9784569606750
カテゴリビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学 » 資本主義論

購入者の感想

 佐伯啓思氏は、新書を含め様々な経済に関する本を出されていますが、私の中では経済学者というよりは「経済思想家」というイメージが強かったため、理論的な書を好む私はこれまで手に取ろうとしてきませんでした。本書が、私が初めて手にとった佐伯氏の著作になりますが、これを読んでわかったことは、同氏が極めて優れた理論家であるということです。突如としてファンになりました。

 さて、本書は10年以上前に書かれた本ですが、その内容は現在でも十分に妥当します。グローバル金融危機が将来起こることを適確に予想した「予言書」といっても過言ではないでしょう。ITバブルにより米国経済が活況を呈し、グローバル化が全面的に支持を得ていた時期に、本書のようなグローバル資本主義の脆弱性を説くとともにケインズ経済学を再評価する書を出されたことは、慧眼と言わざるを得ません。

 本書の主張は、以下のように要約されます。

・モノや資本は容易にグローバルに移動するが、労働力は容易に移動できないため、一国レベルでの経済分析が必然的に重要。
・金融資本主義の発達により、短期金融市場が異常に発達した結果、皮肉にも、企業の設備投資をサポートする長期金融市場は停滞。
・このように、企業の設備投資が阻害されやすい傾向にある中では、ケインズ的な財政政策を適切に行うことにより、有効需要(特に投資需要)をコントロールすることが需要。
・財政政策はグローバルな金融市場の下で不安定化している国民経済を安定化する意味においても重要。

 著者が本書の中で主張したケインズ経済学の重要性は、リーマンショックに対する各国の対応により、正しく裏付けられたといえるでしょう。

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PHP研究所から発売された佐伯 啓思のケインズの予言 (PHP新書―幻想のグローバル資本主義 (079))(JAN:9784569606750)の感想と評価
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