ことばの歳時記 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | ことばの歳時記 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 金田一 春彦 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101215013 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
初出が昭和40年ですから、本書に描かれた東京下町、日本各地の折々の季節の風景は、半世紀近く前のものということになります。その断章からは「とてもそうは思えない」という感懐をまだ少なからず得ることができます。ということは、本書がとりわけ大切にしている季節感、日本語の語感は、まだまだ私たちの中に息づいているらしいということですね。
むかしから自然や文明が大きく変わるときには誰かしら文人とよばれる方が詩文を残してくれました。近くは柳田國男先生の「明治大正史世相篇」や荷風の「断腸亭日乗(日記)」が挙げられるでしょう。この金田一先生の「ことばの歳時記」からも、いまの私たちにとっては薄らいでこそいるもののまだそこで感じ取ることのできる何ものかを、穏やかなぬくもりとして、行間から受け取ることができます。「何ものか」というのは、推察するに、季節の移ろいに対し日本人が古来から受け継いできた感受性のようなものではないでしょうか。
むかしの人は、日が伸びたり詰まったりするのを「畳の目ひとつ分ずつ」といいました。この日めくりの歳時記は、ページ1枚分ずつ季節が移り変わっていきます。裏打ちされた確かな学識と季節感が、美しいことば遣いに支えられ、バランスよく配合された上品、上質な1冊であると思います。
むかしから自然や文明が大きく変わるときには誰かしら文人とよばれる方が詩文を残してくれました。近くは柳田國男先生の「明治大正史世相篇」や荷風の「断腸亭日乗(日記)」が挙げられるでしょう。この金田一先生の「ことばの歳時記」からも、いまの私たちにとっては薄らいでこそいるもののまだそこで感じ取ることのできる何ものかを、穏やかなぬくもりとして、行間から受け取ることができます。「何ものか」というのは、推察するに、季節の移ろいに対し日本人が古来から受け継いできた感受性のようなものではないでしょうか。
むかしの人は、日が伸びたり詰まったりするのを「畳の目ひとつ分ずつ」といいました。この日めくりの歳時記は、ページ1枚分ずつ季節が移り変わっていきます。裏打ちされた確かな学識と季節感が、美しいことば遣いに支えられ、バランスよく配合された上品、上質な1冊であると思います。