2020年、電力大再編 ―電力改革で変貌する巨大市場― (B&Tブックス) の感想

　電力システム改革が進められようとしている。改革後の姿はどうなっているのか。その点を、過去の経緯を含めてコンパクトにまとめてある。
　まず、原子力と再生可能エネルギーについて、中立で冷静な分析をしている。また、電力自由化がどういったものかも、過去の経緯から紹介し、その行方から東電改革の提案まで行っている。
　こうした議論を前提として、２０２０年のエネルギー市場を検討する。
　本書でもっとも読まれるべきは、最後の第５章で、ここでは電力市場自由化後に登場する、あらたなビジネスモデルが検討されている。不動産や自動車まで扱う総合エネルギー企業から、ファイナンス、地域のエネルギービジネスなど。また、ここには通信、金融などさまざまな凝集が参入できる。また、こうしたビジネスの誕生は、経済成長をうながすし、だからこそ経済産業省も電力自由化に前向きな姿勢を示している（自民党政権が長く続いたらわからないけど）。
　およそ、こういった電力の未来が、コンパクトにまとまっているということでは、とても便利な本である。あとは、読者の想像力がためされると思う。