医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい (講談社+α新書) の感想
参照データ
タイトル | 医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい (講談社+α新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 上 昌広 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062728577 |
カテゴリ | ジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 医学 |
購入者の感想
いつの頃からだろう、病院や大学医学部を訪れると、明らかに病院関係者ではない、スーツを着た男女が、医者のことを「センセイ」などと呼んで親しげに話していることに気付くようになったのは。やがて、彼らが医薬品等のメーカーの営業担当者だということを知った。そして、医師と医薬品営業マンとの日常的な接触を見るにつけ、その密接な関係に思いを巡らさざるにはおれなかった。
筆者は、医薬品業界と医師との癒着、中医協の歪な薬価決定による国内医薬品会社の開発力低下、医師不足による事故の多発など、現在と近未来の医療現場の寒々しい状況を具体的に描き出す。
国立病院や大学病院を経て、現在、東大医科学研究所の特任教授である筆者が実際に見聞きした事実を基に述べられているだけに、その言葉は重い。
他方、国立病院が患者よりも国策を優先するのは、その前身が旧日本軍の病院だったから、などという筆者の主張は、視点は面白いが、若干説得力を欠くようにも思う。
また、中医協による薬価の決定などについて、問題点の指摘に止まらず、筆者ならではの改善策まで示して欲しい。
ともあれ、現在の日本の医療の問題点を一通り把握するには便利な1冊だ。東大の教授というメインストリームにありながら、医学界への厳しい批判を続ける筆者には、これからもその立場から、建設的な批判を続けて欲しい。
(2014/11/28読了)
筆者は、医薬品業界と医師との癒着、中医協の歪な薬価決定による国内医薬品会社の開発力低下、医師不足による事故の多発など、現在と近未来の医療現場の寒々しい状況を具体的に描き出す。
国立病院や大学病院を経て、現在、東大医科学研究所の特任教授である筆者が実際に見聞きした事実を基に述べられているだけに、その言葉は重い。
他方、国立病院が患者よりも国策を優先するのは、その前身が旧日本軍の病院だったから、などという筆者の主張は、視点は面白いが、若干説得力を欠くようにも思う。
また、中医協による薬価の決定などについて、問題点の指摘に止まらず、筆者ならではの改善策まで示して欲しい。
ともあれ、現在の日本の医療の問題点を一通り把握するには便利な1冊だ。東大の教授というメインストリームにありながら、医学界への厳しい批判を続ける筆者には、これからもその立場から、建設的な批判を続けて欲しい。
(2014/11/28読了)
流行りの医療否定本っぽいタイトルですが、中身は意外とちゃんとしています。半分ご隠居内科医の立場からしても非常に興味深い内容でした。
著者がどんな人物かと思い、アメリカ国立医学図書館が提供しているPubMedを検索してみて驚きました。
Kami Mと入力してみると300に及ぶ英語論文が出てきます。それも医者なら誰もが一度は名前を載せたいと思う超一流の海外医学専門誌が多く並んでいるようです。
全部が同一人物かわかりませんが、珍しい名前なのでほとんど本人なのでしょう。
本を出している医者の信頼性を測る指標の一つは、きちんとした英語論文を業績として出しているかどうかだと考えています。新聞広告に出ているような訳の分からない通俗医療本の著者を試しに分析してみるとよくわかるように思います。その点、この著者の主張の信頼性は比較的高いと言えるのではないでしょうか。
著者がどんな人物かと思い、アメリカ国立医学図書館が提供しているPubMedを検索してみて驚きました。
Kami Mと入力してみると300に及ぶ英語論文が出てきます。それも医者なら誰もが一度は名前を載せたいと思う超一流の海外医学専門誌が多く並んでいるようです。
全部が同一人物かわかりませんが、珍しい名前なのでほとんど本人なのでしょう。
本を出している医者の信頼性を測る指標の一つは、きちんとした英語論文を業績として出しているかどうかだと考えています。新聞広告に出ているような訳の分からない通俗医療本の著者を試しに分析してみるとよくわかるように思います。その点、この著者の主張の信頼性は比較的高いと言えるのではないでしょうか。
近代史と結びつけた国立病院との関連や 官僚支配との関連も面白く、医療の世界に身を置いている視点からは納得の内容である。
しかしプライマリケアや総合医に対する見方が甘いと思う。 厚生省は医療費抑制のためと考えているかもしれませんが現場の総合医はそういう見方はしていません。 著者が都会の大病院での勤務経験しかないため、地域医療での総合医の役割やプライマリケアの教育の重要性を軽視しているように感じる。 総合医は何でもできる医師ということではありません。
しかしプライマリケアや総合医に対する見方が甘いと思う。 厚生省は医療費抑制のためと考えているかもしれませんが現場の総合医はそういう見方はしていません。 著者が都会の大病院での勤務経験しかないため、地域医療での総合医の役割やプライマリケアの教育の重要性を軽視しているように感じる。 総合医は何でもできる医師ということではありません。