沈みゆく帝国 スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか の感想

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参照データ

タイトル沈みゆく帝国 スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか
発売日販売日未定
製作者ケイン岩谷ゆかり
販売元日経BP社
JANコード9784822250232
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » IT » 情報・コンピュータ産業

購入者の感想

個人としてはi-Padを利用している者です。それは別として(別に、別にしなくともよいのですが)大変よく取材して書かれた読み応えのある一書でした。尤も、われらのSONYのみならず、創業者が偉大すぎて次世代以降の経営陣が緊張感や自由闊達さを失い、身上を食い潰していくというのは洋の東西を問わずよくある話かと思います。残念ですが、Appleもその例に漏れなかっただけということかも知れません。また、成功し過ぎた傲慢な企業が叩かれるというのも、世の習いかと。

「僕だったらなにをしただろうかと考えないでほしい。ただ、正しいことをすればいい」(123頁、SJの言葉)。
「その午後、彼は、妹を見つめ、子どもたちを見つめ、そして、最後に妻を見つめた。シンプソンによると、最後の言葉は「うわぁ。うわぁ。うわぁ」だったという」(128頁)。
「ふるいにかけられたリーダーとは、会社の文化に染まったたたき上げで、十分な評価と選択によってその地位についた人物を指す。これに対してふるいにかけられていないリーダーとは規格外のリーダーで、特殊な状況であったがゆえにたまたまリーダーとなった人物であり、移り気な性格であることが多い。また、常識外れの人物で、普通とは違う進め方をすることが多い。このようなリーダーは大成功か大失敗かに大きく分かれ、その中間であることはほとんどない。ふるいにかけられたリーダーは堅実だが、同じようなやり方で選ばれたほかの人とあまり大きく違わないとも言える。ふるいにかけられていないリーダーはリスクが大きく、大半は失敗に終わるが、成功したときは大成功になる」(365頁、HBS ゴータム・ムクンダ教授の理論)。
「クールな人は、「自分はクールだ」と声高に言ったり自慢したりしない。偉大な会社は、「自分たちは偉大だ」と力説する必要がない」(479頁)。

なお、訳文は、ところどころ意味不明な箇所や誤記・誤植もあったが、まずは読みやすく問題はない。

アップルはジョブスの個人商店だったのだ。しかも世界経済に影響与えるほどの個人商店になってしまった。個人商店は社長の個性が売りだ。アップルも同様で、社長ジョブスの個性を売りにして世界を席巻した。
個性には陰と陽がある。ジョブスは性格に欠点が多かったが、天才的なプレゼンとヒラメキがそれに勝った。だからアップルが世界を変えることに皆賞賛した。
しかし、彼が亡くなり、天才的なプレゼンもヒラメキもなくなると、彼の陰の部分、本書で述べているような、他人に容赦なく、唯我独尊な独裁者の部分が表面化した。前者の才能を持ち合わせてないクック達副官は後者のやり方しかできなかった。帝国となったアップルが後者のやり方をとっても誰も文句を言わないだろう、そんな奢りもあったのかもしれない。
クック達が今後いかに凄いプレゼンをしようと、それはジョブスのを超えることはないだろう。それは所詮ジョブスの遺産を食いつぶしているだけだからだ。アップルが今後イノベーション革命をすることはない。多分ソニーやトヨタのような一企業に収まって行くのだろう。それはそれで構わないが。

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