夏目漱石『こころ』をどう読むか: 文芸の本棚 の感想
参照データ
タイトル | 夏目漱石『こころ』をどう読むか: 文芸の本棚 |
発売日 | 販売日未定 |
販売元 | 河出書房新社 |
JANコード | 9784309022895 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 日本文学研究 |
購入者の感想
漱石『こころ』が刊行100年だという。この本は漱石の『こころ』におけるいろいろな解釈を多くの作家、批評家が書いている。評論、対談、講演録ともに読みやすい。個人的にはまず漱石の『こころ』を読んでいない読者は読後に読んだほうがいいと思う。実際に作家、批評家たちの解釈がないまま先入観なしで読んだほうがより『こころ』という作品がどんなものかわかると思う。『こころ』がなにゆえに読む読者によって様様な解釈が生まれるのだろうか。この本は、漱石の同性愛嗜好から妄想僻といった病理学の視点から見たものや、漱石の恋愛を描いたとする指摘もされている。おもしろいのが、未亡人の奥さんと先生のいけない関係を描いたとする解釈で、想像力豊かな読者はこの『こころ』をポルノ小説として読むこともできるのである。私はこの本に書かれた解釈とは別の読み方もできると思っているのだが、興味ある読者は新たな解釈に挑戦してみるといいだろう。この本はその手助けにもなると思う。