モーツァルト：歌劇《フィガロの結婚》英国ロイヤル・オペラ2006 [DVD] の感想

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　序曲が始まると舞台の幕が開きます。伯爵の大きな屋敷内の大広間に多くの使用人たちがいます。召使頭と女中頭が召使たちの身なりをチェックしているところです。頭の目を盗んで女中にちょっかいを出す男もいます。フィガロが来ると、みんながフィガロを胴上げします。序曲の段階からもう劇が始まっています。
　第一幕が始まると舞台左手から、フィガロたちの部屋がせり出してきます。右手のドアからは立派なお屋敷の部屋も見えて、ときどき召使たちが召使い部屋の中のドラマを目撃します。例えば、スザンナとマルチェリーナの二重唱も女中たちが部屋に入って見ているという演出で、第一幕ではこのような目撃場面が多く見られます。ケルビーノのリナート・シャハムは若くて童顔、ベーム指揮ポネル演出の映画のマリア・ユーイング以来の新鮮な配役です。歌手たちも適役で全体に上品な色彩も目を楽しませてくれます。レシタティーヴォはセリフ的に話され、その面では演劇的な要素が強くなっています。
　マクヴィカーの演出は新奇ではありませんが、登場人物の心理に配慮した丁寧な演出です。シェクスピア伝統の英国らしい素晴らしい演出です。ポネル演出以降では最高の成果だと思いました。