電子立国は、なぜ凋落したか の感想

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参照データ

タイトル電子立国は、なぜ凋落したか
発売日販売日未定
製作者西村 吉雄
販売元日経BP社
JANコード9784822276980
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 産業研究 » 電気・電子

購入者の感想

日本の電子産業・半導体産業が凋落した理由を、章立て筋道示しながら理解しやすく書いています。
使わない機能をてんこ盛りして消費者から見放された電子機器、強みに特化したビジネスの重要性を見抜けず、凋落した半導体産業。何が駄目だったのかを明確に書いています。
5年前の本ですが、2019年に見直しても、内容が色あせていない一冊です。

半導体デバイスに関する研究や業界雑誌編集の経験があり、電子産業界を熟知している著者による、業界凋落の要因分析である。NHKテレビが「NHKスペシャル 電子立国 日本の自叙伝」と題して6回シリーズを放映したのが1991年である。本書によれば、電子産業の国内生産は2000年頃がピークで、その後は総崩れとなった。ソニーやシャープの苦境が新聞を賑わしている。世界を席巻した日本の電子産業界が衰退したことは、日本全体にも大きな影響を与え、その要因の分析を行い、教訓を引き出すことは価値あることである。

一国の産業の盛衰には、グローバル経済の進展状況による日本の国としての競争力、国の産業政策の有効性、電子産業の各企業の経営戦略、日本の他の産業との経営資源(資金や人材)競合、など様々なレベルが考えられる。本書が主に注目したのは、このうち、電子産業の各企業の経営戦略が果たして適切だったか、という視点である。著者の主張は、日本の電子産業の各企業は、特に半導体に関して、設計と製造を分業で行うという世界の大勢に乗り遅れたことが衰退の最大の要因である、とするものである。いつまでも分業を嫌い続けることで採算の悪い半導体事業を抱え続け、経営上の体力を失うことで産業全体の衰退につながった、という考え方である。著者は、早くから(1983年)半導体事業における設計と製造の分業の必要性を雑誌などで主張してきた、とのことである。著者の主張のように、分業を嫌ったことが衰退の一因であることは確かであろうが、ややこの点にこだわり過ぎのきらいがあり、もう少し分析の視点を広げることも必要ではないだろうか。

僕はこの業界にいたからなんであれだけこの世の春を謳歌していた半導体業界が今苦しんでいるのかを、全容が分かるように、また経緯を踏まえて説明してくれる理論的な書物を以前から探してました。そういう観点からは極めて合格点をつけられるものだと思います。読後感はなるべくして凋落したのかどうかは悩むところです。5年しか持たなくていいパソコン用のIC???そういう観点はなかったですね。丈夫で長持ち?は無意味・・・経済活動は難しいです。人間としての価値観も崩れていくことがありますから。いろんな問題点を考えさせてくれます。
とにかく読む価値あります。

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