杜甫詩選 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル杜甫詩選 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者杜 甫
販売元岩波書店
JANコード9784003200490
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 詩歌 » 漢詩

購入者の感想

おそらく杜甫の「春望」の「国破れて山河在り」の句は誰でも知っているでしょう。本作にももちろん収録されています。しかし、知っている杜甫の詩がそれだけではあまりにもったいない。

李白と比較されることの多い杜甫。どちらも政治の表舞台で活躍することはほとんどなく、放浪のうちに一生を過ごした点では共通する。しかし、科挙に受かることに執念を燃やした杜甫の方が、朝廷で活躍したいという欲求は強かったのだろう。そして、李白が絶句や古詩を得意としたのに対し、形式的により厳格な律詩を得意としたのが杜甫。よくこんなに優れた対句が次から次に書けたものだと感心する。その頂点が「登高」だろう。また、庶民の生活の貧窮に対するいきどおりを詠った詩も秀逸。「兵車行」等は後の安史の乱を予告するかのようで、詩人の鋭い観察力には感心させられる。このように紹介すると杜甫の詩は堅苦しいものばかりのように思えるかもしれないが、そうではない。杜甫にも束の間の安息の時期があった。特に蜀の成都に居を構えた時期の詩が私は一番好きである。「春夜雨を喜ぶ」はその繊細さ・色彩感覚が素晴しく、諸葛孔明を詠った「蜀相」は三国志で孤軍奮闘した孔明を知る者としては涙なしには読むことができない。あるいは宮廷生活においても、「古希」の出典となった「曲江・其のニ」のような、享楽的な気分(とはいっても、この詩でも対句の完成度の高さにはうならされる)をかもす詩もある。そして晩年の絶唱「岳陽楼に登る」の雄大さ、最晩年に宮廷時代の知人との再会を散る花の下で喜ぶ「江南にて李季年に逢う」の劇的さは筆舌に尽くしがたい。漢詩は我々に感動を与えてくれる芸術の一大宝庫。8世紀の作品だというのが信じられないほどですが、杜甫の傑作の数々も貴方の人生をきっと豊かなものにしてくれるでしょう。

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