トランジスタ技術 2014年 09月号 の感想

　今月号の特集は「フルデジタル無線」。無線の受信のみならず、送信もフルデジタル化したフルデジタル無線の技術を紹介。その技術を使ったフルデジタル無線機のキットも販売される予定なので、フルデジタル無線を普通の技術者が扱える時代になったということである。
　記事の内容は難しい。フルデジタル化ということは、中身は当然デジタルフィルタがたくさん出てくる。ということは、つまり数式がたくさん出てくるということでもある。デジタル処理を少しかじったことがあるだけの私程度の技術者には、ついていけない内容だ。ただ、眺めているだけでもハイレベルな内容を感じることができる。600号記念を飾るにふさわしい内容に仕上がっているのではないかと推測する。

FPGA や MCU がお手頃になつた今日, ホビイストによる digital 無線通信が経済的に可能に成りました. 然し, 憧憬度の高い技術は矢張り難易度も高い. けれども, ディジタル無線通信は技術的な難易度は高くても, analog と違って knowhow の無い amature でも実装可能であることは慶賀すべきことだ. ゆえに技術らしい技術と云へるのではないでせうか.

ディジタル無線通信の原理の教科書としては, 「応用電子回路（電気学会）」が詳しい. けれども実装例には乏しい. 今回のトラ技の記事は実装例”も”詳説されてゐる. ゆえに単一の事柄（連載記事）で大分を占めるのは致し方ないと思はれる.

他は 電源電圧の測定回路の実装, 国内では余り話題に成らない Open Source な FPGA Board である Papilio にまつわる記事の連載再開・・といった具合である.