ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫) の感想

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参照データ

タイトルミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
発売日販売日未定
製作者スティーグ・ラーソン
販売元早川書房
JANコード9784151792557
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

購入者の感想

 個人的にはこの第3部が,止められない度が一番高く,実に面白いです。
 第1部では一応の決着がつき物語は第2部からは新たな物語が始まりましたが,第2部ラストで瀕死の状態となったリスベットが病院に送られ手術を受けるシーンから始まるこの第3部は第2部からの完全なる続編となっています。
 そのリスベットを再び精神病院送りにすべく暗躍する公安警察特別分析班の面々。
 調査を進めるうちにリスベットの有罪を疑問視するようになる警察官と彼女の有罪を疑わず何が何でも起訴しようとする検察官。
 彼女の無実を確信し,独自の調査をすすめるミカエル。

 この第3部では,上記のとおり,旧ソ連からのスパイやその秘密を守ろうと闇の国家組織の暗躍など,その道具立てが面白いのですが,でも本当に作者が言いたかったことは,ミカエルが弁護士である妹に対して言う
「この事件の核心は結局のところ,スパイとか国の秘密組織とかじゃなくて,よくある女性への暴力と,それを可能にする男どもなんだ」
ということばに表れているように,理不尽に虐げられている女性たちの存在についてなのだということです。

 雑誌「ミレニアム」の共同経営者であるエリカ・ベルジュがこの第3部では,大手新聞社編集長として引き抜かれ,大いなる期待感をもって新しい仕事につきます。
 新しい職場で部下を前に
「しばらくのあいだ足下がぐらつくかも知れません。私が決断を下すうえで助けが必要なときには相談させてください。皆さんの能力と経験に信頼を寄せています」
と発言するエリカは知性溢れる有能な女性です。
 しかし,彼女のような有能な女性でさえ職場で男どもから理不尽ないやがらせをうけ精神的に追い込まれていってしまう。
 このエリカの物語はリスベットの物語という大きな流れとは直接的には関連せず,エリカの物語がなくともストーリーとしては成り立ちますが,このエリカの物語があるからこそ,ミレニアム3部作をとおして作者が言い続けてきた女性に対する理不尽な差別や暴力を鮮明にし,物語全体の質を向上させているように思います。

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