1人でも2人でも手軽にジャズが楽しめる ピアノ伴奏で吹くテナー・サックス ジャズ・スタンダード編(CD2枚付) (サックス・マガジン) の感想

既に販売されている大山日出男氏によるアルト版に深く感銘を受けたため、本書は予約購入しました。

ピアノ&テナーサックスによるジャズスタンダードのデュオ演奏をCD収録・採譜し、またピアノのみのカラオケCDも用意されています。テナー譜もピアノ譜も独立して用意されており、手抜きなしで作られていて文句のつけどころがありません。

選曲も良くまた浜崎氏による演奏も秀逸。同社の岡淳氏によるテナー楽譜も素晴らしいけれど、比較すると本書は「楽譜上での繰り返し」が全くない（テーマのメロディフェイクも丁寧に採譜されている）分、吹いていても退屈しにくい。ゆえに総合点ではこちらの方が上かな？曲は硬軟取り揃えられていますが、少ない音数でのびやかに表現する大山氏と違い浜崎氏はかなりハードに演奏していますので、細かな連符が多く難易度は高いと言えるでしょう。曲によってはフラジオも出てくるので、ある程度の技術が無いと完全制覇は難しいかも。でも格好良さ抜群でジャズ好きのテナー吹きに失望を与える事はないはず。現在の技量にかかわらず、ステップアップを目指す意味でもぜひ入手して頂きたい楽譜集です。

本書冒頭で浜崎氏が述べているように、日本こそ本場に勝る真のジャズ大国（アメリカでもジャズがあるのは都市部のみ、対して日本は津々浦々にまでジャズが存在する）なのかも知れませんね。こんな良書が販売される事も、それを強く裏付けているように思います。