自壊する帝国 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 自壊する帝国 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 佐藤 優 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101331720 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門 |
購入者の感想
圧倒的な頭脳と生命力の持ち主。ケタ外れとしか言いようがない現代の巨人・佐藤優氏。
自ら外交官としてソ連崩壊の渦中に飛び込んで歴史の創造に参加し、臨場感あふれる筆致で
その過程を描いた、場外ホームラン級の名著!
国益を背負い、高度な情報収集・処理・判断の力を駆使しながら、類い希なバイタリティ
ーで人間関係を築き上げていく様は、感嘆すら覚える。頭脳で描いたことを実際の行動に移
す現実的な力は、あらゆる仕事人にとって、大いに勉強になるのではないだろうか。
猛烈な勉強家であるかと思えば、ロシア人以上にウォッカに強い大酒豪。敵に対しては、
耳もとで相手を震え上がらせる恫喝の言葉すら使える。まさにオールラウンド・プレーヤー。
しかも、私が佐藤氏を尊敬するのは、彼が単なるテクニシャンではなく、人間性の奥底に
清潔感があるからである。それは、思想・哲学を真摯に追究し、生き方と直接結びついてい
る人のみが持つ揺るがぬ信頼感というものであろうか。
彼の親友の一人であるロシア共産党第二書記・イリイン氏が、ゴルバチョフ生存の情報な
ど重要な秘密を佐藤氏に打ち明ける。佐藤氏は「あんな重要な秘密を、僕みたいな西側の、
それも下っ端の外交官に教えてくれた理由は何ですか」と率直に質問する。
その問いに対するイリイン氏の答えの中に、佐藤氏の揺るがぬ人間力の根拠が隠されてい
るように思えてならない。
「マルクス・レーニン主義でもキリスト教でも、あるいは愛国思想でも、信奉しているイデ
オロギーは何でもいいんだが、信念をたいせつにする人と信念を方便として使う人がいる。君
は信念をたいせつにする人だからだ。……」
自ら外交官としてソ連崩壊の渦中に飛び込んで歴史の創造に参加し、臨場感あふれる筆致で
その過程を描いた、場外ホームラン級の名著!
国益を背負い、高度な情報収集・処理・判断の力を駆使しながら、類い希なバイタリティ
ーで人間関係を築き上げていく様は、感嘆すら覚える。頭脳で描いたことを実際の行動に移
す現実的な力は、あらゆる仕事人にとって、大いに勉強になるのではないだろうか。
猛烈な勉強家であるかと思えば、ロシア人以上にウォッカに強い大酒豪。敵に対しては、
耳もとで相手を震え上がらせる恫喝の言葉すら使える。まさにオールラウンド・プレーヤー。
しかも、私が佐藤氏を尊敬するのは、彼が単なるテクニシャンではなく、人間性の奥底に
清潔感があるからである。それは、思想・哲学を真摯に追究し、生き方と直接結びついてい
る人のみが持つ揺るがぬ信頼感というものであろうか。
彼の親友の一人であるロシア共産党第二書記・イリイン氏が、ゴルバチョフ生存の情報な
ど重要な秘密を佐藤氏に打ち明ける。佐藤氏は「あんな重要な秘密を、僕みたいな西側の、
それも下っ端の外交官に教えてくれた理由は何ですか」と率直に質問する。
その問いに対するイリイン氏の答えの中に、佐藤氏の揺るがぬ人間力の根拠が隠されてい
るように思えてならない。
「マルクス・レーニン主義でもキリスト教でも、あるいは愛国思想でも、信奉しているイデ
オロギーは何でもいいんだが、信念をたいせつにする人と信念を方便として使う人がいる。君
は信念をたいせつにする人だからだ。……」
2年くらい前に、この人の「国家の罠」を読んでいた。
それにしても、無骨でセンスの無いこの題名は写真に見る著者の風貌(外務省のラスプーチン)にぴったりだね。
けれん味のない筆致に徹しているが、僻みっぽい言い方をすれば、この著作全体が壮大なる自慢話だ、と受け取れないこともない。まあ、この人なんでこんなに頭いいの?と感嘆しきりであったのも事実だが。
鈴木宗男バッシングの時に、言わば強引に連座させられる形で逮捕され失職したわけだが、役所のなかでノンキャリアの専門職がここまでできては、というか、やってはいかんのだろう。
どんな鍛え方をしたのか、強靭すぎる知力と呪術的な親和力とでもいうのだろうか。在モスクワ日本大使館、語学研修生あがりの若造最下層職員が、ほんの1,2年のうちにソ連政権中枢、さらに反体制勢力側にまでも強力にして緻密な人脈を作り上げてしまった。こんな男が飛ぶ鳥落とす勢いの鈴木宗男とつるんで、外務省でやりたい放題ということなったら東大出のエリート外務官僚どももたまったものではなかったろう。
「国家の罠」では、自分が捕まった原因を、国策捜査というキータームで抽象的に説明するに止めていたが、ズバリ言えば、先輩官僚たちの嫉妬と恐怖が、公務員制度の枠を食い破ってしまうようなこの傑出しすぎた男を失脚させるために、共同謀議的に作用したのではないだろうか。
本命は佐藤だったのであり、鈴木は佐藤を落とすために撃つ必要のあった馬だったのでは。
「自壊する帝国」は佐藤のモスクワ勤務時代の回想録といった体裁で綴られていて、その誇るべき人脈の形成過程それに各人物との交流の様が活写されているが、それで程よくソ連崩壊の実態が浮かび上がるようにはできてない。
さりげなく配された外交官佐藤の勲章が二つ。
佐藤が逮捕された時、アルクスニクスというロシアの国会議員から佐藤の弁護士宛にFAXが届く。「サトウマサル救出のためロシアの国会議員で署名を集め日本政府に送りたい。上下院で百名以上は署名する・・・」P216
もう一つは、これは文字通り本当の勲章。
それにしても、無骨でセンスの無いこの題名は写真に見る著者の風貌(外務省のラスプーチン)にぴったりだね。
けれん味のない筆致に徹しているが、僻みっぽい言い方をすれば、この著作全体が壮大なる自慢話だ、と受け取れないこともない。まあ、この人なんでこんなに頭いいの?と感嘆しきりであったのも事実だが。
鈴木宗男バッシングの時に、言わば強引に連座させられる形で逮捕され失職したわけだが、役所のなかでノンキャリアの専門職がここまでできては、というか、やってはいかんのだろう。
どんな鍛え方をしたのか、強靭すぎる知力と呪術的な親和力とでもいうのだろうか。在モスクワ日本大使館、語学研修生あがりの若造最下層職員が、ほんの1,2年のうちにソ連政権中枢、さらに反体制勢力側にまでも強力にして緻密な人脈を作り上げてしまった。こんな男が飛ぶ鳥落とす勢いの鈴木宗男とつるんで、外務省でやりたい放題ということなったら東大出のエリート外務官僚どももたまったものではなかったろう。
「国家の罠」では、自分が捕まった原因を、国策捜査というキータームで抽象的に説明するに止めていたが、ズバリ言えば、先輩官僚たちの嫉妬と恐怖が、公務員制度の枠を食い破ってしまうようなこの傑出しすぎた男を失脚させるために、共同謀議的に作用したのではないだろうか。
本命は佐藤だったのであり、鈴木は佐藤を落とすために撃つ必要のあった馬だったのでは。
「自壊する帝国」は佐藤のモスクワ勤務時代の回想録といった体裁で綴られていて、その誇るべき人脈の形成過程それに各人物との交流の様が活写されているが、それで程よくソ連崩壊の実態が浮かび上がるようにはできてない。
さりげなく配された外交官佐藤の勲章が二つ。
佐藤が逮捕された時、アルクスニクスというロシアの国会議員から佐藤の弁護士宛にFAXが届く。「サトウマサル救出のためロシアの国会議員で署名を集め日本政府に送りたい。上下院で百名以上は署名する・・・」P216
もう一つは、これは文字通り本当の勲章。