ショパン名曲100 の感想

SDカードに入れて長時間かけっぱなしの流し聴きを楽しんでます。ショパンの名曲をほどほどに揃えたいけど1枚モノでは物足りない、といって20枚も聴きこなす自信はない、録音がよくて一流の演奏家のものなら何でもよい、そういう普通の人々のニーズにしっかり応えてくれます。質・量ともに。

最近話題の名曲切り刻みの１００曲集は、これまでクラシック音楽に縁のなかった人たちには入り口として受けているようだが、従来からのクラシックファンには、単なるＢＧＭ集でどうせ入り口で終わるだろうとあまり見向きされていない。
しかし、この名曲集は一見これまでの６枚組と同様の商品に見えながら、内実はきわめて筋の通ったショパンの作品集となっているのに驚いた。ＢＧＭでなくショパンと向き合ってみようという聴き手にも、まず取るべき入門ＣＤとして広く薦められる。
この６枚で、ショパンのピアノ作品の二分の一弱はカバーされているし、これまでの６枚組と違って、作品の配列もまっとうである。
演奏者は、ダン・タイ・ソンをはじめとして、ショパンコンクール上位入賞者を中心に配し、ほとんどが、これまでリリースされていたＣＤの音源ばかりということで、これまで価格で、購入に二の足を踏んでいたショパンファンにも歓迎されるものとなっている。ティエンボは鋭角的な、ユニークな解釈を聴かせるが、他の演奏者はおしなべてオーソドックスであり、この選集でショパンのほぼ全体像が俯瞰できると言っても良いだろう。
解説書の充実ぶりも特筆される。
全体的に丁寧な作りで、メーカーの良心が感じられる、今時珍しくも素晴らしいセットです。

ピアノの詩人ショパンの主要曲が網羅されたコンピレーションです。昨今クラシックのコンピレーションがいろいろ出ていますが、このセットで特筆すべきは演奏の素晴らしさです。特にダン・タイ・ソンの弾くピアノ協奏曲は、甘くロマンティックな想いが美しい音色で奏でられる名演で、まさに「とろけそうなショパン」です。またポブウォツカの弾くバラードやマズルカも、以前から同曲の最高の演奏の１つとして評価の高い録音です。このような名演奏が安価に聴くことができるのですから、クラシックの初心者はもちろん、耳の肥えたリスナーの方にもおすすめできます。

ディスク６の選曲はちょっと玄人好みですね（ボレロやタランテラなどあまり演奏されない珍しい曲目がある）。バラードとスケルツォが全曲収録されていないことは残念ですが、それ以外の主要曲は網羅されているといって良いでしょう。