ヘタッピマンガ研究所R (ジャンプコミックス) の感想

『完全な初心者さんに漫画の描き方をレクチャーする本』ではなく
実力派漫画家さんたちへの取材などを通してまとめた
まさにタイトル通りの、漫画の作り方の『研究』レポートという印象を持ちました。

ベストな対象読者は
『カンタンなもので良いので、とにかく多少でも自分で考えて漫画を描いた事がある人』
でしょうか。
そういう方であれば『あるある』本として非常に面白いかと。
あとは冨樫先生のお話などは特に面白いと思ったので、冨樫先生のファンの方にもオススメです。

個人的に、実力派漫画家さんの
「試行錯誤の積み重ねの末見つけた、その人なりの漫画の作り方」
という秘伝奥義的なものをよくこんなに教えてくれたな〜
と思う内容が多かったです。
フンフン、なるほど、すごいな〜と読み進めていくと…

LastStepで、漫画家志望の初心者が陥りやすい心理に、警鐘を鳴らしています。
よく考えれば、才能を生かす仕事であるなら、なんにでもあてはまるお言葉です。

突き放しと取る方もいらっしゃるかもしれませんが、私には
『漫画』と『この本を読んだ人達』に対する、村田さんのとてもまじめで誠実な姿勢に思えました。

漫画はこどもの頃から身近にありますから、なんとな〜く漫画家に憧れる人はとても多いです。
耳ざわりの良い言葉を並べて、本当は漫画家に全然向いていない人達に夢を見させるのもカンタンです。

そうして実にならない時間を過ごさせるのは酷。
この警鐘が響くか響かないかで自分の『漫画に対する適正』を計れる程の
真摯で厳しく、思いやりのある言葉と感じました。

最後にこれを外さず入れてきた事で、本当のプロフェッショナル指向な1冊になっています。

私的には☆5なのですが、この本に興味を持ちそうな人達のニーズに100％応えられるか？というと
それはどうだろう…と思ったので☆4つにさせていただきます。