東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法 の感想

　タイトルの通り「著者が行った勉強法を公開する本」です。心理学や神経科学の教授が書いた科学的根拠や十分な数の事例を元につくられた勉強法の本ではありません。プロスポーツ選手が自分のトレーニングの内容を公開しただけで、筋肉が発達するメカニズム等は一切言及していない、といった感じでしょうか。徹底的に個人の体験談が元であり、そのためか6章200ページのうち「私のヒストリー1」「私のヒストリー2」が2章75ページを占めています。

「特に頭が良いわけでもない私が基本的な内容をしっかり押さえた本を7回読む勉強法を中学から行って東大主席まで上り詰めた」と書いてあります。この内容はきっと事実ですから良いんです。
「だからこの7回読み勉強法は誰にでも効果がある」とも書いてありますが、基礎の徹底が重要なのは明らかだから根拠を示す必要は無い、というスタンスなのか、この意見の根拠は作者自身の成功体験だけです。全く同じ記述を繰り返し読むと効率良く記憶できることは私自身よく知っているのでこの主張に異論はないのですが、それは他の心理学や神経科学の教授らが実験データ付きで本に書いていたのを読んでいたおかげです。このように、タイトルの通り確かに勉強法を教えてはくれますが、基本的にそれだけです。東大主席ですら7回読むんだから自分が2、3回読んだくらいじゃダメだな、と思えるならそれだけで勉強法の本として最低限の価値はあるので星は3つ。