美のジャポニスム (文春新書 (039)) の感想

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タイトル美のジャポニスム (文春新書 (039))
発売日販売日未定
製作者三井 秀樹
販売元文藝春秋
JANコード9784166600397
カテゴリ » ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 作品集

購入者の感想

 本書では、著者の言葉を借りると、「日本美術・事物の研究」と「芸術における日本からの影響」という狭義のジャポニスムではなく、「現代デザインの潮流の原点のひとつとして日本独自の美意識」として捉えたジャポニスム、いわば広義のジャポニスムについて、デザインの様々な視点から掘り下げられている。

 西洋の特徴として、「シンメトリーと黄金分割によるプロポーション(比例)」、日本の特徴として「非定形と等量分割によるコンポジション(構成)」を指摘する。さらには、日本特有の「非定形」を「フラクタル理論」と関連付け、そこから日本の「非定形」と西洋の「黄金分割」との関係性を導き出し、表現方法は大きく異なりつつも、西洋の黄金分割と日本の非定形は同じ理論・同じコンセプトに基づくと結論付ける。

 そして、西洋との相違を意識しつつ、日本美の表現性の特徴を以下のように整理する。

 ・アシンメトリーと誇張

 ・余白を生かした構図

 ・斜線のコンポジション

 ・抽象化した装飾的表現

 ・平面的表現性と色彩の大胆さ

 ・非定形と定形のバランス感覚

 エッセイ風の文章であるため読みやすいが、特に目新しさを感じる内容でもなく、ジャポニスムの影響力を誇張しすぎているようにも感じる。ただ昨今、安藤忠雄設計の「21_21 DESIGN SIGHT」などにも見られるように、様々な分野で日本デザインが注目されていることを思うと、あながち的外れでもないだろう。

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