中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史 の感想

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参照データ

タイトル中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史
発売日2014-05-30
製作者與那覇 潤
販売元文藝春秋
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カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

 挑発的な表題と、いささか軽薄な物言いが気になりますが、著者のいうことはだいたい納得がいきます。中国は宋代に近代が始まり、都市市民社会をベースにしたメリトクラシー(実力主義)の国になったという評価は、トンデモ説でもなんでもありません。
 ただ、著者はあえて無視しているのだと思いますが、『科挙と近世中国社会―立身出世の階梯』にあるように、中国社会は決して誰にでもチャンスが約束された機会平等の社会ではありませんでした。科挙に挑戦できるのは、経済力のある一部郷紳層に限られ、事実上の身分制が形成されていたのです。
 メリトクラシーの反対はアリストクラシー(貴族制)ということになるでしょうが、両者は截然と分けることができるものではありません。そもそも科挙自体、はたしてメリトクラシーの原則から作られた制度であるか疑問です。もしそうであるなら、科挙はもっと実学的な基準からえらばれたことでしょう。著者は諸々の歴史事象を二元論で説明しようとしているので、いろいろなことを見落としている。
 1970年ごろから教条的マルクス主義史観の拘束が解けて、歴史の見直しが続いているのは確かですが、この本を読んで新しい歴史像がわかったつもりになるのはたいへん危険です。随所にちらばめられている現代社会批判からもわかるように、本書は歴史学に名を借りた政治論であると見るべきでしょう。

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