幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語
発売日販売日未定
製作者ジョン P.コッター
販売元ダイヤモンド社
JANコード9784478003121
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

日本国中多くの企業が体験している職場の空洞化,希薄化する人間関係,障害だらけの製造現場,事なかれ主義に徹するタコツボ化現象,この原因は『会社が社会の公器となり得ない』現状にその発端にあるのではないだろうか? 松下幸之助が松下電器を設立した背景は決して容易ではなかった.というか戦争があり,今の時代以上の不況や石油ショックがあり,困難を極めた時代を乗り切り今の松下電器があるのである.2008/04/28の決算は過去最高益を記録した松下電器,その繁栄は松下幸之助に依ってもたらされたことは疑う余地もない.松下電器が多くの危機を乗り越えここまで来れたのはなぜか?

『経済情勢が厳しい時ほど会社に幸いした』

幸之助は自身の幼少期の経験から逆境によって人は強くなると信じていた.このような背景で松下電器は中小企業から中規模な組織にまで発展する.組織が大きくなるに連れて発生する問題に,指揮命令系統が曖昧となり,企業の成長が止まることがあげられる.起業トップが従来の成功を踏襲することで陥る一種の慢性的成長疾患である.多くのベンチャーはこの段階で大企業へはなれないものだ.

この問題に対して,松下電器はどのように克服したかと云えば,裁量権の完全委託と事業部制度の活用が解であった.1933年に幸之助は会社を製品毎に再編成した.各事業部は製品開発から製造・販売までの全てを任せられた.この事業部制は当時としては珍しく,より大きな責任を与えることは,各事業部の責任者が一人の実業家,起業家として成長するのに役立つのである.この発想の原点は,会社は社会の公器であり,会社が社員を大切に育て,社員満足度から会社の繁栄を考える幸之助の発想を垣間見ることができる.

昨今,問題となっている日本企業の不機嫌な職場現象,解決するヒントが本書にはたくさん記述されているような気がしてならない.

ハーバード大教授によって、松下幸之助という人物をリーダーシップの側面から成長過程を分析した伝記体として記されている。

困難な家庭環境と苦難に満ちた少年期、青年期では凡庸で病弱であった企業家が、30代で斬新な経営スタイルの導入などの改革リーダーへ、40代ではビジョナリーリーダーに。
社会の変化、技術の変化、組織の停滞・慢心などに、素直な心をもって果敢に取り組んでゆく、自らの病弱もあってか自らが率いる組織ではなく、自らのビジョンや思想を人や組織に継承することで、組織をひいては社会を豊かにする方法を見いだしてゆく。
人生の後半は、それらの方法を多面的に広めるために、著述家、慈善家、教育家、哲学家としての活動に身を投じる。

著者はこれを伝記として書き表しながらも、「仕事の世界」「私生活の世界」「心の世界」の三層の視点で、それぞでどのような葛藤・成長などがあるのかが描かれ、これによって人間・松下幸之助が鮮やかに浮かび上がってくる。

偉大な経営リーダーが、どのようにして形成されてゆくのかが見事に描かれた成長物語。企業人として人生を活きるための智慧として読むことができるのではなかろうか。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語

アマゾンで購入する
ダイヤモンド社から発売されたジョン P.コッターの幸之助論―「経営の神様」松下幸之助の物語(JAN:9784478003121)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.