医学探偵の歴史事件簿 (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | 医学探偵の歴史事件簿 (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 小長谷 正明 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004314745 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
古今東西のさまざまな人物の「病気」をめぐり、ベテラン神経内科医の立場から縦横に観測し、推理し、「診察」を試みた、読み応え十分の医療エッセイ集。第1部「20世紀世界史の舞台裏」ではヒトラーやスターリンやケネディやレーガン、第2部「近代日本史の曲がり角」では明治天皇や三島由紀夫や昭和天皇、第3部「医学を変えた人々」ではパーキンソンやキュリー夫人やナイチンゲール、第4部「王と医師たち」ではルイ17世やヴィクトリア女王や皇女アナスタシア、第5部「いにしえの病を推理する」ではツタンカーメンやヤマトタケルノミコトや源頼朝やジャンヌ・ダルク――。最新のDNA鑑定技術を踏まえた見解や、西洋医学黎明期の研究者の苦闘ぶりなども加味されていて、飽きさせない展開になっている。
終戦時の「厚木基地反乱事件」で首謀者のマラリア発作が基地の暴発を未然に防いだとか、神経の難病でその名を残すパーキンソンが恐竜など古生物の研究家でもあったとか、「神の声」を聞いたジャンヌ・ダルクは「側頭葉テンカン」ではなかったかとか、話題は幅広く、面白く読めた。医師としての領分を守った、抑制の効いた客観的で具体的な筆致にも感心した。
終戦時の「厚木基地反乱事件」で首謀者のマラリア発作が基地の暴発を未然に防いだとか、神経の難病でその名を残すパーキンソンが恐竜など古生物の研究家でもあったとか、「神の声」を聞いたジャンヌ・ダルクは「側頭葉テンカン」ではなかったかとか、話題は幅広く、面白く読めた。医師としての領分を守った、抑制の効いた客観的で具体的な筆致にも感心した。