失楽園〈上〉 (角川文庫) の感想

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参照データ

タイトル失楽園〈上〉 (角川文庫)
発売日販売日未定
製作者渡辺 淳一
販売元角川書店
JANコード9784041307373
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » や・ら・わ行の著者

購入者の感想

私の性別は女ですが,この小説が特に女性に人気だったってホントでしょうか。

中年男性用のハーレクインロマンスかと思いました。

主人公の男性は,55歳・妻子持ち,閑職に回されて仕事に対する情熱を失った人です。

まずもって,こういう男性に17歳も年下の魅力的な女性がぞっこん惚れ込むという設定がどうも感情移入しにくい。

しかも,この男,妻への愛情を失ったと言いながら,

その妻に愛想を尽かされて離婚届を突きつけられ,大学生の娘に「離婚したら」って言われても,ふんぎりがつかず,

そのくせ勝手に家を飛び出して愛人女性と部屋まで借りて入り浸っているのである。

主人公の2人は,結婚したら恋愛をしたらいけないのか,とか,なんで不倫はふしだらだと言われるのか,と憤慨し,世を嘆く。

しかし,この2人(特に男の方)にどうしても清潔感を感じることができないのは,不倫そのものに対する嫌悪というより,愛していると言いながら,他方で家庭の安定を捨て去る気もない点であり,そういった非道徳的,秘密的,刹那的な関係を敢えて維持しつつ,

これらをスパイスとした性愛を楽しんでいるように見えるからである。

彼らの最後の選択にも,説得性や必然性がなく,まったく感情移入できない2人であった。

読了するのにかなり忍耐を要した。

作者によれば,理解できない私は「愛のエリート」ではないということになろうが,

それならそれで仕方がない。

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