シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か の感想

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参照データ

タイトルシルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か
発売日販売日未定
製作者廣田 裕之
販売元アルテ
JANコード9784434182310
カテゴリビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学 » 経済学入門

購入者の感想

 本書は地域通貨などオルタナティブな通貨制度の発案者として有名なシルビオ・ゲゼルについてわかりやすく簡潔に解説した本です。
 ゲゼルは当時の金本位制下において、貨幣が人々を支配するシステムについて疑問を抱き、重農主義者たちと経済学の研究を深めて、『自然的経済秩序』をいう本を著します。そこでは貨幣が「社会の中での合意」であり、構成員の意志で変えることのできるものだととらえられています。ゲゼルは減価していく自由貨幣を導入することで、小作農や工場労働者のための自由土地を確保する、国家による土地の国有化を展望します。国有化のために要した国債は地主に与え、その利子は自由通貨の減価により容易に返済ができるようになり、国有化された土地は国家が効率的に管理し、貸付によって国が地代を得て、その地代を次世代育成のための「母親年金」に充てます。こうして紛争の大元である土地の私有を自由通貨によって解決し、その国有化された地代を広く次世代育成にまわす仕組みを考えたのでした。
 また、本書では自然貨幣の一番の特徴、減価する貨幣、について丁寧に解説しています。貨幣の機能や仕組みについて解説した後、一般的な商品に対して価値の変動が少ない貨幣の優位性を明かにして、人々が貨幣を溜め込んでしまう傾向にあること、そのためにデフレーションやインフレーションが発生することを述べます。それを解決して貨幣の流通量=供給量を安定化するには、貨幣を持ちつづけることに対してペナルティを課すことです。それが減価する貨幣というわけで、貨幣から特権を排して一般商品と同じようにしたものだといえます。
 本書ではその他にも、ゲゼルの生涯やマルクスとの比較、金本位制の弊害や、自由通貨導入のシミュレーション、現代の視点から見たゲゼルの問題点など、興味深い論考が多くあります。200ページもないコンパクトな本ですが、具体例が豊富でとても読みやすい上にゲゼルについて解説した数少ない本です。貨幣や金融、地域通貨などに興味のある人は、ぜひご一読下さい。

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