『海江田ノート』原発との闘争176日の記録 の感想

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タイトル『海江田ノート』原発との闘争176日の記録
発売日販売日未定
製作者海江田 万里
販売元講談社
JANコード9784063528305
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

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 原発事故当時の経産相であった著者が、自身のノートを基に当時の状況・対応を時系列的に振り返ったもの。構成としては非常にシンプルだが、資料として挙げられているノートがまとまりを欠いていて、断片的に疑問点や結果が並べられており、本文はその補足説明としての意味合いが強い。それゆえ多少ギクシャクした記述は否めないが、混迷する現場の臨場感が否応なく伝わってくる。個人的には、美化や口裏合わせを伺わせる官邸周辺の「言い訳本」よりも、はるかに誠実な印象を持った。
 同時に、海江田個人の事実誤認、未熟な対応をも浮き彫りにしているように感じた。
 本著では、首相の現地視察に同行した斑目春樹(当時原子力安全委員長)がさっさと帰宅して、再び呼び出されると風呂上がりの顔で官邸へ来たことに不快感を示している。…本来、原発の安全に関して規制・指導権限を有するのは原子力安全保安院・文科省原子力安全課であって、安全委員会は申請・法令の監察が主要業務のはずだ。斑目は必ずしも現地視察に随行すべき立場にはなかったし、菅直人の言動に辟易させられた挙句、再度官邸で難詰に遭ったのだから、寧ろ同情が相応しいのではないか。…他にも、ハイパーレスキュー隊出動の際の「処分も辞さず」や、東電幹部の「全員退避」等々、コミュニケーション不全では片付けられない齟齬についても海江田なりに説明を試みている。こうした「言った言わない」的なトラブルは海江田個人というよりも、民主党政権の幼稚かつ拙劣な政治主導によって、官僚・首長との信頼関係が霧消したことが主因ではなかろうか。
 衆院選惨敗後、民主党党首に手を挙げた海江田には敬意を表したい。だが、玄海町長に「原発再開は国が責任を持つ」と再稼働要請した直後、菅直人は法的根拠皆無なストレステストをぶち上げ、梯子を外されたことは教訓として欲しい。法を無視して2ヵ月半もの国会空転を招いた菅直人は復活当選し、彼の子飼いは参議院にも2人残っているのだ。民主党内の正常化は、焦眉の急である。

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