本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (「戦後再発見」双書2) の感想

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参照データ

タイトル本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (「戦後再発見」双書2)
発売日販売日未定
製作者前泊 博盛
販売元創元社
JANコード9784422300528
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

本書は、「戦後再発見」双書の第2弾。
第1弾でベストセラーとなった『戦後史の正体』(孫崎享著)にも匹敵する、画期的な大力作である。
「高校生にも分かる」とのコンセプトで、こうした良質なシリーズを、世に送り出している編集者に感謝したい。

編著者の前泊博盛氏は、2011年から沖縄国際大学大学院教授。それまでは、27年間、琉球新報で記者を務めた人。
「はじめに」でも「私自身、米軍基地問題に関しては、かなり過激な取材や報道をして、ギリギリのところまで肉薄してきたつもりです」と書いているが、本書を読むと、心底納得できる。

本書でも詳細に経緯が書かれているが、前泊氏らが、外務省の機密文書「日米地位協定の考え方」をすっぱ抜き、「琉球新報」に全文掲載した下りなどには、感動と興奮を覚える。
氏が、命を張って日米の権力構造の急所を暴き出そうとの、熱意と使命感に満ちた人物であることが伝わってくる。

本書の構成は、次の通り。
「PART1」…「日米地位協定Q&A」(全17問)
「PART2」…外務省機密文書「日米地位協定の考え方」とは何か
「資料編」…「日米地位協定」全文と解説
 ※「PART1」は、前泊氏はじめ4人の執筆者が分担している。

私は、本書を読むまでは、恥ずかしながら、「日米地位協定」が、沖縄基地に特化された問題であるとの印象を持っていた。
読後は、「日米地位協定」の問題は、アメリカへの従属関係を脱しきれない、日本全体が抱える、重要問題であったのだと、認識が一変した。
アメリカが、「憲法」と「条約」と「協定」を巧みに使い分けながら、日本そのものを巧妙に「利用」してきた、その歴史的経緯と全体像が、実に分かりやすく描かれている。

特に、印象的だった記述がある。
「国際政治に関して、かなりの事情通を自認する方でも、アメリカの『圧力』はもっと間接的なものだと思っていませんでしたか? ちがいます。最高検察庁の陳述も、最高裁判所の判決も、非常にダイレクトな形でアメリカの国務省から指示されていたのです」(250ページ)との箇所である。

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