基礎からきちんと知りたい人のC#プログラミングの入門書 (日経BPパソコンベストムック) の感想

本書は、Windows OS用のアプリを作る工程を踏みつつ、C#を使ったプログラミングの仕方を学ぶ入門者用書籍だ。
アプリ開発環境は、マイクロソフトが無料で提供している「Visual Studio 2010 Express」で、本書にインストール用の媒体が付属している。この開発環境の継続使用にはインターネット接続が必要だが、学習環境がすぐに整うのはよい。ただ、作例アプリのソースコードは、書籍に記されたWebページを訪問して入手する必要がある。

さて、本書の学習方針は「実用性のある簡単なWindows OS用のアプリを作りつつ、C#の基本的な使い方を学ぶ」と推測できる。
一般的には、プログラミング技術の上達は「手を動かすこと(実践 & 実験)」が近道とされているため、著者も、経験上それを知っての上で本書の編集方針として採用したのだろう。
実際、本書では、ファイルの入出力、データベースの使い方、印刷含む文字情報の扱い、ゲームなど、プログラミングの学習で扱う一通りのジャンルのアプリを作例にしており、かつ、変数の使い方やクラス継承の仕方など、C#を使ったアプリ開発に必要な基本技術の解説はきっちり抑えている。その文面も、平易な表記で分かりやすい。
のではあるが、文法の詳しい解説については情報が断片的にしか書かれていない。また、プログラミング「前」に必要なコンピューターの仕組みや専門用語の解説はない。
その意味では、真に「初心者向けの書籍」とはいえない面がある。

ゆえに、先述した分野の情報を補う手段を併用すれば、本書は、初心者のプログラミング技術の向上に効果を発揮すると思われる。