菊と刀 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル菊と刀 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者ルース・ベネディクト
販売元講談社
JANコード9784061597082
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

"菊作りに秘術を尽くす国民に関する本を書く時、同じ国民が刀を崇拝し武士に最高の栄誉を帰する事実を述べるなど(中略)普通はないことである"戦時中に日本分析の為に卓越したアメリカ人女性文化人類学者によって書かれた本書は"日本に一度も来た事がないにも関わらず"その分析の深さに驚かされる。

個人的にも、著者の圧倒的な知性にショックを受けて、読書にしばし言葉を失った。もちろん自国びいきであったり、多少の誤解はあるとも感じたが【そんな些細な事より】歴史はもちろん、文学、宗教、教育といったあらゆる方向から日本人は【(善悪といった)罪ではなく恥を最重視している】と述べているところは鋭く刺さった。

そして降伏後に理解できない"180度転向した"日本について"多くの日本人は何事によらずあなたまかせの態度を取ることが【目的達成の最も安全な道】であると考えている(=無気力が広がっていく)"との指摘に"近代の日本人をアメリカ人が分析した本を【現代の日本人】として"眺めていたはずが、まるで当時から未来すら予見されていた様な恐ろしさを感じました。

タイトルこそ思想的な誤解をされそうですが、日本人理解に、そして一級の研究書として読むべき名著。何より私たち日本人がいかに西洋文明から、そしてアジア各国と比較しても【異質な島国であり】そして占領後の盲目的なアメリカ追随で【何を失ったか】がよくわかります。この国を愛する全ての人にオススメ。

罪の文化/恥の文化や、個人主義/集団主義など、後世の日本文化論上の重大な論点
を残したルース・ベネディクトによる、代表的日本論。
様々な批判があるが、まず、多くの人が指摘しているとおりこのベネディクトさん、生涯のう
ち一度も来日していないという。なぜだかその点において、「にもかかわらず」豊富な資料を
もとに精巧な日本論を書いたという彼女を評価する声があって、文化人類学に僕はそこまで
詳しくないのだが、日本に一度も来てないことは、一方で批判点にだってなりえるじゃないだ
ろうか。

だがそうは言っても、冒頭に書いたような個人主義/集団主義という論点や、敗戦後に鬼畜
米英からアメリカ万歳に一変した世論など、くやしいが現代にも通じるような気がする。ほら、
つい先々月にも、大会前国民的にボロクソに言われていたサッカーのナショナルチームが、
一夜にしてその評価を一変し、かつそのことについて反省する声がほとんど上がらなかった
という事例があるように。組織内に自己の「ふさわしい位置」を求めるという指摘も、現時点で
どこにも「ふさわしい位置」を持たず、不安で仕方がない僕は頷かざるを得ない。

そういった点で、大枠では少なからぬ妥当性があるように思えるが、細部においては議論す
べき箇所が多いように思える。収録されている「評価と批判」で川島武宣でも指摘しているが、
本書の論証がほぼ歴史という縦軸を無視しているという点は、きわめて注視すべきものだろう。
「義理」やら「恩」というものが、現代日本でも妥当だろうか。本書をそのまま大学のレポートな
どの現代日本人論に肯定的引用すると、ひどいことになりそうだ。日本人論というのは、日本
人自身大好きで何冊も出ているが、これだけでなく他の論考も読むべきなのは、いうまでもな

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講談社から発売されたルース・ベネディクトの菊と刀 (講談社学術文庫)(JAN:9784061597082)の感想と評価
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