超音波技術入門―発信から受信まで の感想

メーカーで働く超音波技術者です。
よくある超音波の本とは趣向、視点が違い、根本から理解したい人にはお勧めです。
本書は物理の視点から波動に関する（数式だけでない言葉での）記述があり、波という性質の根本理解に役に立ちます。
よくある超音波の本にはこのような根本的な記述が無いものが多く、超音波が『一つの分野』とくくられるが、本質は違います。
超音波はなんて事はない、物理学の基本である「物理的な波の動きの連続、集合、状態である」ことが理解できます。

また、波を発信・受信するのはトランスデューサーで、制御処理は電気回路・ソフトが主であるが、その記述もされている。
よくある超音波の本には、これらの記述が乏しいが、実践上では、これらの理解が大事であるので、本著はお勧めできます。

このように波の性質を理解していれば、共振を多用する「強力超音波」類と医療・非破壊検査などでの波の振る舞いは、
本質的に違いが無いのだが、本著は前者共振に関する記述は殆ど無いので注意です。

このような視点での超音波本が無かったので良本ですが、ページ数の制限もありなのか、全てを丁寧に記すまでには至ってません。