禅 (ちくま文庫) の感想

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タイトル禅 (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者鈴木 大拙
販売元筑摩書房
JANコード9784480021571
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

私は、浅学菲才につき「鈴木大拙」先生の本がすんなりとは頭に入りません。

そこで、40年前永平寺(曹洞宗大本山)で在家参禅させていただいたことを思い出しました。
32歳の頃、在家参禅4泊5日間を許されました。
修行中の「雲水」様と同じスケジュールで、朝3時半起床、就寝夜9時。その間、作務(トイレ掃除等)・本堂での読経・50分の坐禅3~4回。
食事は朝はお粥、昼・夜は菜食(麦入り)の一汁一菜・合計1600キロカロリー。
雲水様とほぼ同じ生活をさせて頂きました。

この体験を思い出しつつ自室で坐禅をし、修証義のCDを聞き、本書を拝読いたしました。
有難うございました。合掌・71歳福岡在

この書は、1950年代から60年代にかけて鈴木大拙先生が英文で書かれた禅に関する著作
を7編集めて工藤澄子大姉が日本語に訳したものであり、秋月龍’’’a(みん)禅師の解説が
付いている。
短編の寄せ集めではあるが、第7章「愛と力」を除けば、全体を通して違和感はない。
第7章は、「1958年のブラッセル万国博覧会で読まれたメッセージの邦訳」(秋月師)
らしく、世界平和を意識した内容になっており、特に禅に関連したものではない。
この章が何故この書に取り入れられたのかは分からない。

ここに載せられた著作は、鈴木先生が外国人に禅の本質を分かってもらうために英語で
書いたものであるせいか、日本国内で販売されている他の著作と一味違ったものに
なっている。
つまり、禅を仏教の他の宗派だけでなくキリスト教とも比較し、その本質に迫っている。
それが成功しているかどうか分からないが、禅問答を並べて、それを面白おかしく解説
している書ではない。(もちろんかなりの数の事例は出てくるが。。。)

この書に興味を持たれた方のために、各章の最初の文を以下に記載し、購入のための
参考としたい。
第一章 禅
 禅は、仏教の精神もしくは真髄を相伝するという仏教の一派であって、その真髄とは、
仏陀が成就した<悟り>(bodhi、菩提)を体験することにある。
第二章 悟り
 仏教は仏陀の「悟り」の体験を中心に回転している、と自分は思う。
第三章 禅の意味
 禅は、要するに、自己の存在の本性を見抜く術であって、それは束縛から自由への道を
指し示す。
第四章 禅と仏教一般との関係
 禅の中には、表面的にはまことに奇異かつ非合理にさえ見えるものがあって、これが、
いわゆる原始仏教を言葉通りに受け取る敬虔な仏教徒たちを驚愕させ、かれらをして、
禅は仏教ではなくて、その中国的変形亜流にすぎない、と断言させるのである。
第五章 禅指導の実際的方法

おそらく英米の東洋神秘思想研究者向けに書かれたものを工藤澄子氏が日本語に翻訳されたのが本書である。目次は第1章・・・禅 第2章・・・悟り 第3章・・・禅の意味 第4章・・・禅と仏教一般との関係 第5章・・・禅指導の実際的方法 第6章・・・実存主義・実用主義と禅 第7章・・・愛と力 という結構になっていて、いわば禅の包括的な概論と呼べる入門書である。工藤氏の訳す日本語は極めて正確かつ明晰で曖昧な文章はなく、すいすいと読めてしまう。ところが、読後、あれっ、何が書いてあったんだっけと、覚束なくなる。これはきっと文章がクリアカットでありながら、禅というものが、西洋の論理や知性を寄せ付けない独特のアンチロジックを備えているため私たちの頭がついていけないからに相違ない。だから繰り返し読むことになる。すると滋味深い意味がじわっといたるところから立ち上ってくる。
 たとえば、「答えは問いのいまだに問わざる以前にすでに与えられている」とか「何か困難にぶつかった時には、われわれはいつでも、仏陀の“悟り”の体験にその究極の解決を求めなければならない」あるいは「禅は、要するに、自己の存在の本性を見抜く術であって、それは束縛から自由への道を指し示す」に端的に言い表されている。
 何度も立ち戻らなければ分かってこないけれど、かといって読んでも一向にピンとこないところもある。それが禅なのだ。そこから『臨済録』や『無門関』などを読めばいいわけだ。本書はそういうふうに仕向けてくれる格好の禅導入書になっている。

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