研修医当直御法度 百例帖 第2版 の感想

書名が嫌で読まずにおりました^_^。今回、たまたま手にする機会があり通読させていただきました。実践と経験に基づいて書かれたすばらしい本です。過去のご自身の失敗も書かれていますが、こういうのを書かれるのは勇気がいると思います。私自身は救急をおこなっているわけではありませんが、大変勉強になりました。と同時に今さらながら、日常診療にも危険というのはたくさん潜んでいるのだと教えられました。科にかかわらず、医師なら誰でも一度は読んでおくべき本だと思います。
近頃の医学書って、ネームバリューのある先生が経験値のない若手の医者に割り振って原稿を書かせて、一丁上がり…という安易な、ただの諸書をまとめただけのいい加減なものも多いです(どんな本かは私の過去のレビューをご覧ください)。そういうインチキ本を書き散らしている皆さんは、これを読んで反省してほしいものです。

救急のピットフォール的な症例を100例集めた本です。色々な疾患が、詳しすぎないポイントを押さえた書き方で記述されており、臨床で大変ためになります。脳梗塞のような症状を示す大動脈解離や、Hb の低下しない(まだ低下していない)上部消化管出血、ふらつきで受診した肝細胞癌の破裂など自分の昔の経験が思い出されます。まず通読しておいて、臨床で患者さんを診るたびに復習するとよいと思います。case 91からcase 100までは医者としての心構え、基本的な患者さんへの態度について示されており、読み応えがあります。

救急の落とし穴とも呼べるべきもので、なおかつ「初期研修の間だけでも出会い得るかも」という絶妙な症例が数多く記載されていて勉強になります。
救急の勉強ってどう手を付けたら良いか分からない部分も多々あるので、そういう方は是非この本を使って勉強すると良いのではと思います。