トロイアの真実―アナトリアの発掘現場からシュリーマンの実像を踏査する の感想
参照データ
タイトル | トロイアの真実―アナトリアの発掘現場からシュリーマンの実像を踏査する |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 大村 幸弘 |
販売元 | 山川出版社 |
JANコード | 9784634640696 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
東京・六本木のサントリー美術館に「徒然草――美術で楽しむ古典文学」展を見に行きました。海北友雪筆の20巻に及ぶ『徒然草絵巻』などを通じて、徒然草の世界を絵画的に味わうことができました。
閑話休題、『トロイアの真実――アナトリアの発掘現場からシュリーマンの実像を踏査する』(大村幸弘著、大村次郷写真、山川出版社)は、シュリーマンの「ヒサルルックはトロイア戦争の遺跡」という仮説に異を唱える興味深い一冊です。
「ヒサルルックがトロイアであるとする説は、少なくとも仮説であると今でもいわざるをえない。では、なぜそのヒサルルックがトロイアになり、そして世界遺産にまで登録されたのだろうか。この背景には大きく二つの理由があるように思う」。著者は、一つはシュリーマンの自叙伝『古代への情熱』であり、もう一つはホメロスの叙事詩『イリアス』と『オデュッセイア』の存在だと述べています。
1972年以来、この地帯の遺跡発掘に携わってきた著者は、「もしトロイアだと証明しようとするのであれば、これまでかき出された排土をフルイにかけてはと思った。わずかな破片でもよい。ヒッタイト帝国の(都であった)ハットゥシャから送られてきた書簡の破片でもみつかり、その数行にトロイアの名称が確認されたときに、(シュリーマンからデルプフェルト、ブレーゲン、コルフマンへと引き継がれてきた)140年あまりの作業は終わるのではないかと思っている」と、地味だが具体的な提案を行っています。
閑話休題、『トロイアの真実――アナトリアの発掘現場からシュリーマンの実像を踏査する』(大村幸弘著、大村次郷写真、山川出版社)は、シュリーマンの「ヒサルルックはトロイア戦争の遺跡」という仮説に異を唱える興味深い一冊です。
「ヒサルルックがトロイアであるとする説は、少なくとも仮説であると今でもいわざるをえない。では、なぜそのヒサルルックがトロイアになり、そして世界遺産にまで登録されたのだろうか。この背景には大きく二つの理由があるように思う」。著者は、一つはシュリーマンの自叙伝『古代への情熱』であり、もう一つはホメロスの叙事詩『イリアス』と『オデュッセイア』の存在だと述べています。
1972年以来、この地帯の遺跡発掘に携わってきた著者は、「もしトロイアだと証明しようとするのであれば、これまでかき出された排土をフルイにかけてはと思った。わずかな破片でもよい。ヒッタイト帝国の(都であった)ハットゥシャから送られてきた書簡の破片でもみつかり、その数行にトロイアの名称が確認されたときに、(シュリーマンからデルプフェルト、ブレーゲン、コルフマンへと引き継がれてきた)140年あまりの作業は終わるのではないかと思っている」と、地味だが具体的な提案を行っています。
シュリーマンの自己宣伝に満ち溢れた自伝は まじめ?な学者にはあまり評判が良くないし、おそらく、ねつ造とはいうことができないまでもかなり演出があったということはすでに有名だ、とはいえ彼の業績は時代背景を考えるとみるべきものがあるし、第一次世界大戦後のドイツに対する悪感情から彼の山師としての側面が強調されすぎたきらいがある ということからあまりにも有名なトロイについてまともに述べた本は少ない。著名なヒッタイト学者である大村氏がこの読みやすい本を書いてくれたことは本当にうれしい、 また文中にふれられているManfred KORFMANN も毀誉褒貶いろいろあるが 非常に評価に値するトロイ研究をしているので彼について言及してくれたこともうれしい