歴史のなかのミュージアム―驚異の部屋から大学博物館まで の感想
参照データ
タイトル | 歴史のなかのミュージアム―驚異の部屋から大学博物館まで |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 安高 啓明 |
販売元 | 昭和堂 |
JANコード | 9784812214077 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 美術館・博物館 |
購入者の感想
純度の高い教養図書である。 著者は日本の基礎刑法史とも言える『近世長崎司法制度の研究』を著述刊行され、その発展として長崎奉行所判例集の原典古文書を解説され、その成果を『新釈犯科帳』(3巻)として発表されている気鋭の研究者のようである。
それだけに、本書にも著者の裾野の広い研究背景が窺え、読んでいて知的快感を覚え、実に楽しい。取り上げてあるテーマは、日本国内の博物館から、韓国、中国、ヨーロッパの博物館に及ぶ。実際の現地調査を踏まえての作品であるため、各々の保存・展示物の歴史的背景の説明も具体的で、私たちが学んでこなかった歴史の秘話には思わず引き込まれる。また、人類の文化蓄積遺産でありながら、私たち現代人が、それほど深く、強く、意識することなく、漠然としか寄り添ってこなかった(ように思える)この博物館という知の宝庫を、未来世代にしっかりと受け渡す責任をも提起した内容となっている。そういった意味では、特に歴史文化に何らかの関わりを志す学徒には是非目を向けて欲しい刺激の著書である。またこの豊かな物質経済社会に到達した日本だからこそ 次に求められる豊かな精神文化形成への一助として、専門外の読書人にはお薦めできる。 なお、安高著者は2009年には博物館協会から、『棚橋賞』を受賞されている。
それだけに、本書にも著者の裾野の広い研究背景が窺え、読んでいて知的快感を覚え、実に楽しい。取り上げてあるテーマは、日本国内の博物館から、韓国、中国、ヨーロッパの博物館に及ぶ。実際の現地調査を踏まえての作品であるため、各々の保存・展示物の歴史的背景の説明も具体的で、私たちが学んでこなかった歴史の秘話には思わず引き込まれる。また、人類の文化蓄積遺産でありながら、私たち現代人が、それほど深く、強く、意識することなく、漠然としか寄り添ってこなかった(ように思える)この博物館という知の宝庫を、未来世代にしっかりと受け渡す責任をも提起した内容となっている。そういった意味では、特に歴史文化に何らかの関わりを志す学徒には是非目を向けて欲しい刺激の著書である。またこの豊かな物質経済社会に到達した日本だからこそ 次に求められる豊かな精神文化形成への一助として、専門外の読書人にはお薦めできる。 なお、安高著者は2009年には博物館協会から、『棚橋賞』を受賞されている。