コクリコ坂から 横浜特別版 (初回限定) [Blu-ray] の感想

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参照データ

タイトルコクリコ坂から 横浜特別版 (初回限定) [Blu-ray]
発売日2012-06-20
監督宮崎吾朗
販売元スタジオジブリ
JANコード4959241713537
カテゴリDVD » ジャンル別 » キッズ・ファミリー » キッズアニメ・映画

購入者の感想

夏目漱石の如く、その蒼さが心を掴んで放さない好きな作品。
ジブリでは珍しい昭和を扱った作品で、ファンタジー要素が皆無な日常生活のみの掴み所がないストーリーの為に評価が割れている。
一見するとドキドキワクワクしない安っぽい青春恋愛映画の様だが、そうではない。
戦争で一家の大黒柱を失った多くの家を代表する「医院を衣替えして経営する女性専用下宿」、戦死した父への気持ちを未だ整理仕切れない「信号旗」、戦火を免れて文化の息吹きを伝える「カルチェラタンの解体反対運動」等の各々のエピソード達に緊張感が途切れない。
温故知新と言えば陳腐かも知れないが、自分達のルーツを知り、何者でありたいかを悩み、言葉と行動によって相対的に自らを規定していく蒼白さが実に清々しくて痛々しい。理屈だけでなく感覚で突っ走っても許される若者の特権が眩しく描かれている。
大人は将来を託す若者達にどう接し、どう向き合うべきか、学園理事長や街の人々、そして父親達の言葉一つ一つに宿っている。
そう、本作のメッセージの相手は若者達ではなく、実は大人達だと気付く。彼らを型に嵌めるな、物質的な豊かさだけを求める様に育てるな、善くも悪くも過去を受け止めた上で自由に考えさせろ、少なくとも彼らのやりたい事の邪魔をするなと。
淡々と進むストーリーに沢山の示唆が埋もれている。脚本は意味深長にとても洗練されていて、単に昭和ノスタルジーと斬って捨てては勿体ない。歴史と自由がある此の国で生を受けた歓びと責任を軽快なシナリオで気付かせてくれる良作。
背景や動画は安定した美しさで、声優はタレント起用型だが、役者中心で抑揚が効いているからか意外に良かった。挿入歌の「上を向いて歩こう」は今日聴いても歌詞は力強く、メロディが斬新で驚いた。
本作は異色に見えて実は保守本流、ジブリの名に恥じない骨太テーマの秀作だ。

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スタジオジブリから発売された宮崎吾朗のコクリコ坂から 横浜特別版 (初回限定) [Blu-ray](JAN:4959241713537)の感想と評価
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