欧州連合―統治の論理とゆくえ (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトル欧州連合―統治の論理とゆくえ (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者庄司 克宏
販売元岩波書店
JANコード9784004310990
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

名著。国際政治、とりわけヨーロッパに関心がある者、もしくは東アジアの平和構築に関心がある者に推奨される。

オススメの読み方は、「東アジアで共同体を作るとしたら、どのような問題に直面し、どのように克服すれば良いのか」を念頭に置くこと。

ただし、他の方が指摘されているように、若干国際法などの用語で難解なものが少なくない。庄司先生は、法律のバッググラウンドが強く、「法文をやや柔らかくしているくらいの文章」という表現が適切かもしれない。そのため、読了にやや時間がかかったが、これほど具体的にEUについて知ることができるなら、その対価としては差し障りない。

EUは平和構築について、最も現実的で有効な「市場統合」というメソッドを世界に先駆けて導入し、改良を重ねているモデル。

例えば、アメリカと中国が武力衝突しそうだとして、もしアメリカ資本の企業が中国で経済活動を活発化させ、中国資本の企業がアメリカで経済活動を活発化させれば、「経済の相互浸透」が深化し、互いに戦争を起こすコストが上がるため、武力衝突は「本当に」起こりにくくなる。

EUはそれに戦後すぐ気づき、大真面目に着手した制度。しかしそこで直面する問題、すなわち国々の多様な文化、経済格差、法制度をどうまとめ上げていくのかということを、EU以上に考えてきたアクターはない。

庄司克宏先生は、慶應大学の法律学科を卒業後、政治学科に再び学士入学し、その後大学院まで学ばれた方。政治学科では、田中俊郎先生というEUの大家に師事し、大量の英文と格闘し、ヨーロッパ政治を極めている。そして、本職であるEU法の研究をこなし、EUに存在する非常に実務的、法務的な問題をこの人以上に知る人は、おそらく欧州連合のリーダー達のみで、日本にはいない。またEU研究という特徴から、経済ウォッチャーでもある。

EUの動向について、もしくは東アジアで同様の共同体を構築する可能性を聞きたいなら、政治・法・経済に習熟した庄司先生が筆頭に来る。
ちなみに現在、氏はPWCのアドバイザーも務めている。それくらい、具体的な争点に習熟している人の著書で、かなり読み応えがあった。

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