ハイエクの経済思想: 自由な社会の未来像 の感想
参照データ
タイトル | ハイエクの経済思想: 自由な社会の未来像 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 吉野 裕介 |
販売元 | 勁草書房 |
JANコード | 9784326102327 |
カテゴリ | ジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済思想・経済学説 |
購入者の感想
本書において「ハイエクの経済思想」については、前半で主に自生的秩序と進化論という双子の概念について述べられている。続いて、『隷属への道』がアメリカで受容されていった過程や、いわゆる新自由主義とハイエクの自由主義の違いについて等の記述が続く。ハイエクが語らなかった国家論をキーに、新自由主義との違いを述べる点は興味深い。
そして、第八章ではオープンガバメント、終章では「自由な社会の未来像」について述べられている。
著者は言う。「ハイエクの限界は、かれの思想から社会を運営していくという実践知をうまく引き出せないことにあった。なるほどかれの言葉を厳格に受け止めるなら、実社会に何らかのシステムを導入しようとすれば、すぐさまそれは設計主義的であるとみなされ、いつまでたっても実践に移ることができない。」
ハイエクはあえてこの限界にとどまったのだと思うが、著者はあえてその限界を超え実践に移る。その先にあるのがオープンガバメントだ。
感覚的に言えば、政府のみが抱えていた統計データ等の情報が公開され、多くの人々に利用されることにより、より良い結果がもたらされる可能性はあるだろう。著者が言うところの「知識の豊かさ」につながる可能性もあるだろう。
しかしながら、具体例の記述があまりなく、また私自身が具体例を想起することも難しかった。オープンガバメントの成否については今後、具体例に基づき、公開するコストともたらされる結果のコスト比較等が十分必要となってくるだろう。
果たして、オープンガバメントは設計主義のたまものなのか。著者はオープンガバメントをハイエクの考える政府のアップデートとしてとらえる。一方で、私は本書を読んで、オープンガバメントという試み自体が、自生的秩序の中での一つのトライアルアンドエラーなのではないかと感じた。
ハイエク思想にとどまることなく、それをアップデートしようとする著者の今後の議論に期待したい。
そして、第八章ではオープンガバメント、終章では「自由な社会の未来像」について述べられている。
著者は言う。「ハイエクの限界は、かれの思想から社会を運営していくという実践知をうまく引き出せないことにあった。なるほどかれの言葉を厳格に受け止めるなら、実社会に何らかのシステムを導入しようとすれば、すぐさまそれは設計主義的であるとみなされ、いつまでたっても実践に移ることができない。」
ハイエクはあえてこの限界にとどまったのだと思うが、著者はあえてその限界を超え実践に移る。その先にあるのがオープンガバメントだ。
感覚的に言えば、政府のみが抱えていた統計データ等の情報が公開され、多くの人々に利用されることにより、より良い結果がもたらされる可能性はあるだろう。著者が言うところの「知識の豊かさ」につながる可能性もあるだろう。
しかしながら、具体例の記述があまりなく、また私自身が具体例を想起することも難しかった。オープンガバメントの成否については今後、具体例に基づき、公開するコストともたらされる結果のコスト比較等が十分必要となってくるだろう。
果たして、オープンガバメントは設計主義のたまものなのか。著者はオープンガバメントをハイエクの考える政府のアップデートとしてとらえる。一方で、私は本書を読んで、オープンガバメントという試み自体が、自生的秩序の中での一つのトライアルアンドエラーなのではないかと感じた。
ハイエク思想にとどまることなく、それをアップデートしようとする著者の今後の議論に期待したい。