世界で一番いのちの短い国: シエラレオネの国境なき医師団 (小学館文庫) の感想

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タイトル世界で一番いのちの短い国: シエラレオネの国境なき医師団 (小学館文庫)
発売日2012-07-06
製作者山本 敏晴
販売元小学館
JANコード9784094087406
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

西アフリカに位置するシエラレオネは、人口六百万人の共和制国家である。長引く内戦により、医療システムが崩壊して、ここに暮らす人々の平均寿命はなんと三十四歳。本書が刊行された2002年当時、シエラレオネ共和国は、世界でいちばん平均寿命の短い国だったそうだ。

本書は、MSF=国境なき医師団としてシエラレオネ共和国に派遣された、山本敏晴さんの半年間の活動の記録である。紛争地帯のど真ん中で、いのちを救うために尽力する日本の医師の姿が、勇気と感動を与えてくれる  ・・・ はずなんだけど、性欲の処理の仕方のような下世話な話もあってちょっぴり笑えたりもする。肩肘張らずにさらさらと読めるところが本書のいいところなのだ。

著者は、寝食を忘れた診療活動もさることながら、下痢や巨大ゴキブリと闘い、疫病の感染に恐怖し、スタッフのごたごたに巻き込まれたりと毎日が大変だ。それでも国際協力への熱意を絶やさないのはどうしてだろう。

著者は、西欧的な押し付け=ピース・コロナイゼーションではなく、現地の人々と同じ視線で、未来に残すための教育重視の活動を目指している。MSFの正規のミッションとは別に、休日返上で素人同然の現地のスタッフの教育を試みていく。その国の人々によって医療が立ち行くことが大切だとする。偽善ではなく本当に意味のある国際協力は何であるのか。著者は、この答えを求めてMSFに参加したのだ。シエラレオネ共和国での活動をとおして、自身の信念を確認することが、著者の「生きがいを見いだす」ということなのだろう。

与えるだけが国際協力ではない。「彼らの目は死んでいない。哀れを誘うような様子などないし、誇りをもって生きていることが感じられる」。本書に掲載されているシエラレオネ共和国の人々の写真を見ると、これを実感することができる。

なお、本書は2002年の初版に文庫化にあたって加筆・改稿したものだ。2011年には、平均寿命は四十七.八歳に延びたそうである。

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