まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルまだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者天童 荒太
販売元新潮社
JANコード9784101457161
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » た行の著者

購入者の感想

著者は、本シリーズ『家族狩り』で山本周五郎賞を受賞した天童荒太。
(H16/06/01 発行)

本書は、『家族狩り』シリーズ、全5部作中の第5作目になる。
連続家族自決事件のサスペンス編も種明かしがあり、それぞれの思惑が交錯していた登場人物らもそれなりの末路を迎えることとなる。

湿っぽい雰囲気は本書でも変わらず、結局、作者は本作品を通して何を言いたかったんだろう…社会は簡単に変わらない、しかし、変わらないと嘆くことよりも、一歩でも働きかけることが大切だ、というところか。

本書はハッピーエンド…と言いたいところであるが、ハッピーエンドを迎えられた人もいれば、二律背反で、バッドエンドを迎えた人もいる、大風呂敷を広げれば、世界中では毎日バッドエンドを迎えている人たちもいる…その事実にどう考えていくかが、呈示されているように感じた。

天童荒太は本作品で初めて読んだけれど、ぶっちゃけ全体的に長すぎる。
メッセージは分かったから、5部作じゃなくとも、1,000ページくらいで纏められなかったんだろうか…中だるみ感が自分には大きかった。

本作品は、95年に発刊された「家族狩り」を全面的に改訂した新作である(家族狩りの文章を1行も使っていない!)。
残虐な方法で夫婦が殺害され、その子供が自殺体で発見される事件が相次いでおこが、子供達の家庭内暴力の果てに起きた事件として処理される。
事件を発見した、高校の美術教師・巣藤俊介。事件をきっかけにより無気力になっていた彼の中で、何かが変わり始める。
児童相談センターの心理職員・氷崎遊子は、児童虐待にあう少女の対処をめぐり、大きな壁にぶつかる。
そして、事件を一連の連続殺人として捜査を続ける、警部補・馬見原。かれの二つの「家族」に大きな転機が訪れる。
第五部では、事件に関わったそれぞれの「家族」が互いにリンクし、それぞれの方向性が示される。
「家族の崩壊」と「そのしわ寄せに苦しむ弱者・子供」そして「その子供達の成人後」という本作品のテーマは、大ベストセラー「永遠の仔」に通じるものである。「家族狩り」発刊当時と比べて家族を取り巻く状況は悪化し、様々な事件が多発している。この五部作を通し、ともすると事件そのものの凄惨さに目がいきがちであるが、一番分かり合えるはずの「家族」「親子」の難しさの方が怖く、そして感動を覚えた。作者のメッセージをしっかりと受け止めたい。
本作品は今年の出版界最大のニュースとなるであろう。

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新潮社から発売された天童 荒太のまだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)(JAN:9784101457161)の感想と評価
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