戦うハプスブルク家 (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 戦うハプスブルク家 (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 菊池 良生 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061492820 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 人文・思想 » 宗教 |
購入者の感想
30年戦争は、その帰結としてのウェストファリア条約とともに、
近代主権国家体制成立の契機となったことで知られている。
本書は、ヨーロッパ中世の政治・社会・経済のパラダイムを徐々に変化させ、
結果として新しい世界認識の流れを加速化させた30年戦争の過程を追ったものである。
30年戦争を描く際に著者は、主人公とでも呼ぶべき人物を数名登場させている。
神聖ローマ皇帝フェルディナント二世、傭兵隊長ヴァレンシュタインがそれである。
また歴史の一時期だけ登場するスウェーデン国王グスタフ・アドルフなど、各領邦の将軍たち。
それぞれの思惑から行動する彼らの政治手法と結果は、人間臭く、時に面白い。
個人的には、ヴァレンシュタインが自ら築いた軍税制度に葬られる話が興味深かった。
堅苦しい学術書のように構造だとか理論を振りまわすことなく、
主体的な個人の行動を描く手法で、まるで物語を読んでいるような感覚だった。
行動がそれ自体の思惑を離れて、歴史を動かしていく様子は非常に興味深い。
また、個人の行動の背景をなした時代精神や、思わぬ副産物などにもしっかり言及している。
わずか200頁強の新書でありながら、エピソードも豊富で楽しめる好著である。
近代主権国家体制成立の契機となったことで知られている。
本書は、ヨーロッパ中世の政治・社会・経済のパラダイムを徐々に変化させ、
結果として新しい世界認識の流れを加速化させた30年戦争の過程を追ったものである。
30年戦争を描く際に著者は、主人公とでも呼ぶべき人物を数名登場させている。
神聖ローマ皇帝フェルディナント二世、傭兵隊長ヴァレンシュタインがそれである。
また歴史の一時期だけ登場するスウェーデン国王グスタフ・アドルフなど、各領邦の将軍たち。
それぞれの思惑から行動する彼らの政治手法と結果は、人間臭く、時に面白い。
個人的には、ヴァレンシュタインが自ら築いた軍税制度に葬られる話が興味深かった。
堅苦しい学術書のように構造だとか理論を振りまわすことなく、
主体的な個人の行動を描く手法で、まるで物語を読んでいるような感覚だった。
行動がそれ自体の思惑を離れて、歴史を動かしていく様子は非常に興味深い。
また、個人の行動の背景をなした時代精神や、思わぬ副産物などにもしっかり言及している。
わずか200頁強の新書でありながら、エピソードも豊富で楽しめる好著である。