さようなら、もんじゅ君---高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし の感想

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参照データ

タイトルさようなら、もんじゅ君---高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし
発売日販売日未定
製作者もんじゅ君
販売元河出書房新社
JANコード9784309245867
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題

購入者の感想

 高速増殖炉もんじゅ君の自分語りによる、高速増殖炉、そして原発の解説本。
 擬人化もここまで来たかという感じだが、もんじゅ君の気持ちがとてもよく分かる一冊になっている。鳥獣戯画を始め、擬人化は日本の文化であるし、プルト君よりはましでしょう。

 1995年のナトリウム漏れ火災事故が起こった時の気持ち、高速増殖炉と一般的な原発の違い、ナトリウムを使用しているために困ること、核暴走の起こりやすさ、プルトニウムの怖さ、世界の高速増殖炉、日本が核燃料サイクル計画を諦めきれていない理由、2050年の夢などについて、ただ解説するのではなく、もんじゅ君の視点から書かれているので、臨場感にあふれていて、とても伝わりやすい。

 福島原発事故のせいで悪者にされている原発フレンズだが、本当は彼ら自身が最も悲しんで、最も廃炉になることを願っているのかもしれない。
 反原発の人は、ただ単に原発に反対するのではなく、彼ら原発フレンズの気持ちを慮り、早く彼らを廃炉にできるよう、前に進むための議論をしなければならない。
 埋没原価の発生を回避しているだけのコンコルド効果に囚われず、前へ進むための研究、投資を通して、再生可能エネルギーなど、本当の科学技術の進歩を目指していかなければならない。

 本書にも書かれていたが、もんじゅや美浜原発から琵琶湖までの距離は30kmしかない。福島原発事故で言えば、計画的避難区域の場所に、関西の1,400万人の生活を支える水資源があることになる。
 これから、日本が世界と伍して戦っていくためには、水資源は大きな武器のひとつとなり得る。原発は、人々の生活だけではなく、日本の大きなビジネスチャンスを奪ってしまう可能性もある。

 「2050年もんじゅの夢」は、読んでいて目頭が熱くなった(花粉症気味だったのもあるが)。
 美しい日本の国土、人々の生活、海や風、地球そのものを守るために、もんじゅ君とは、さよならしなければならない。

 さよなら、もんじゅ君。

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