「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門 (ちくまプリマー新書) の感想

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参照データ

タイトル「しがらみ」を科学する: 高校生からの社会心理学入門 (ちくまプリマー新書)
発売日販売日未定
製作者山岸 俊男
販売元筑摩書房
JANコード9784480688712
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

しがらみとは何であり、どうしてそのような状態が生まれるのか、何が問題なのかについて説明した本。文体の統一がとれていない文章だが、学生向けにやさしく書こうとしてあり、簡単に読める。著者は、社会心理学を専門とする大学教授。

自分たちがまわりに合わせてとる行動が社会によるしばりを生み、それによって互いに勝手なことができないようになり、だから社会では秩序が保たれている。反面、自分で好き勝手にできなくて息苦しいという状態も生まれる。また、このようなしばりは、例えば、教室のいじめのような誤った問題が生じた際にも、螺旋を描くように傍観者の比率が増えてクラスの雰囲気を支配してしまい、おかしいと思っても声を上げづらくなるという状態が作られることにつながる場合がある。このように、他者の行動や嗜好のあつまりがそのグループの空気を支配することで自分の行動の選択肢も狭まってしまうということは人間以外の生き物にもみられ、そのような状態が続くことが生物の進化においても一役かっているということを、著者は孔雀の例を挙げて説明している。

しかし、空気や世間だけで集団を営もうとすると、しがらみだらけになってそこに所属する個人が息苦しくなる。そこで、憲法や法律を整備することによって、ここまでであれば個人の自由として互いに文句を言わないが、ここからはみんなで合意した通りにしなくてはいけないと決めて個人の自由と権利を確保し、その明文化されたルールとの契約に基づいて個人が生きるという社会を作ろうとしたのが、西欧の近代化のプロセスだったと著者は説明している。

ひるがえって、今の日本は、空気を読むということが折りにふれて重要視されている。しかし、あまりに空気や気持ちを読むことを要求される社会では、空気を読むことが得意ではない人が生きてゆくのが難しくなる。元々人間関係が苦手な人がひきこもってしまったり、これから社会に出る人が溶け込みにくくなったりということにもつながる。だから、著者は、空気や気持ちを読むのが苦手な人は、まず社会を動かしている原理を理解して理論を使って生きてはどうかとアドバイスしている。一方、空気を読まなければ生きていけない範囲が広がりすぎた社会を、法律や契約に基づいた社会にすべきだとも述べている。

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