史記〈7〉―列伝〈3〉 (ちくま学芸文庫) の感想
参照データ
タイトル | 史記〈7〉―列伝〈3〉 (ちくま学芸文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 司馬 遷 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480082077 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説 |
購入者の感想
漢民族は太古から匈奴の侵攻に悩まされてきました。始皇帝は匈奴を破り長城を整
備して匈奴の襲撃に備えましたが、漢の高祖は平城で匈奴の大軍に包囲され、屈辱
的な講和を結ぶに至りました。本巻所載の匈奴列伝は、匈奴の興亡史ですが、とり
わけ面白いのは漢初に出現した冒頓単于の伝記です。冒頓は父の頭曼を殺害して単
于になり、近隣の諸民族を平定して一大強国を築きました。決断力と実行力に富む
冒頓の苛烈な生きざまはまさに英傑の名にふさわしい。司馬遷の描写も生き生きし
ています。
武帝のとき、大将軍衛青、驃騎将軍霍去病があらわれて匈奴をさんざん打ち破り、
漢は積年の鬱憤をはらしました。しかし、この2将軍の事績については、司馬遷は
その戦果を淡々と記述するのみで面白みに欠ける。むしろ、敵には勇敢に立ち向か
い、士卒に慕われながらも、武運に恵まれず自決した李広将軍の生涯を満腔の共感
をもって描いています。(司馬遷は李広の孫李陵の匈奴降伏を弁護したため、武帝
の逆鱗にふれ、宮刑という屈辱的な刑に処せられました。)
備して匈奴の襲撃に備えましたが、漢の高祖は平城で匈奴の大軍に包囲され、屈辱
的な講和を結ぶに至りました。本巻所載の匈奴列伝は、匈奴の興亡史ですが、とり
わけ面白いのは漢初に出現した冒頓単于の伝記です。冒頓は父の頭曼を殺害して単
于になり、近隣の諸民族を平定して一大強国を築きました。決断力と実行力に富む
冒頓の苛烈な生きざまはまさに英傑の名にふさわしい。司馬遷の描写も生き生きし
ています。
武帝のとき、大将軍衛青、驃騎将軍霍去病があらわれて匈奴をさんざん打ち破り、
漢は積年の鬱憤をはらしました。しかし、この2将軍の事績については、司馬遷は
その戦果を淡々と記述するのみで面白みに欠ける。むしろ、敵には勇敢に立ち向か
い、士卒に慕われながらも、武運に恵まれず自決した李広将軍の生涯を満腔の共感
をもって描いています。(司馬遷は李広の孫李陵の匈奴降伏を弁護したため、武帝
の逆鱗にふれ、宮刑という屈辱的な刑に処せられました。)