草地と日本人―日本列島草原1万年の旅 の感想
参照データ
タイトル | 草地と日本人―日本列島草原1万年の旅 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 須賀 丈 |
販売元 | 築地書館 |
JANコード | 9784806714347 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » 植物学 |
購入者の感想
日本のほとんどの土地は、そのまま放っておくと数百年で森林になるらしい。その中で、最後の氷河期以降約1万年間(何十回と草原が森林に変われる時間)、森林にならず当時の草原が維持されてきた土地が九州、関東甲信越など日本各地に現存しているという。そこには1万年前からの動植物が今も生きているという。しかも、その草原の維持は火山や河川の氾濫などの自然の気紛れとそこに生きる人間の営みの共同作業だというのだ。自然というと海、山、森林などを思い起こすが、日本の1万年前の生き物が息づく草原が、人間の綿々とした営みによって、いま私たちの目の前に広がっているということは大変な感動を覚える。しかし、この太古からの草原が、そしてそこに生きる生き物たちが今、急速に消えつつあるという。私たちはどのように生き、何を未来に残すのか、考えさせられた。私たちのまわりの自然や文化をさらに広い視野で見るべきことを教えてくれる1冊である。ただ、初期の縄文人が何のためどのように草原を維持してきたかは、まだまだ謎のようだ。この研究の延長線上で、縄文の人々の生活がさらに明確になることを期待したい。