一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして (月刊たくさんのふしぎ2019年09月号) の感想
参照データ
タイトル | 一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして (月刊たくさんのふしぎ2019年09月号) |
発売日 | 2019-08-03 |
製作者 | 木原 育子 |
販売元 | 福音館書店 |
JANコード | 4910159230998 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 絵本・児童書 » ノンフィクション・伝記 |
購入者の感想
アメリカのNPOからの依頼で日章旗の持ち主をさがした過程が描かれています。
「わたしは新聞記者です」という始まりが、この絵本の覚悟をよく示しています。
日章旗には「一郎君」とあります。一郎だから長男でしょうか。そして、寄せ書きをしてくださった人々の名字から静岡県の人ではないかと当たりをつけます。図書館に出かけ戦前の静岡県の電話帳を借り、寄せ書きの名前と一致する方の住所を調べて一軒一軒出かけていきます。もちろん、もう亡くなっている人もいらっしゃいます。
木原さんは来る日も来る日も人々を探し、たずね歩きます。そうしてようやくご存命の人と巡り会う。松永さん。しかし彼には記憶がありません。そして日章旗に名前を書いたことを後悔しています。名座ならそれは「お国のために死んでこい」ということだからです。松永さんもまた出征し、特攻隊に配属されたのです。
木原さんの努力が実る日が来ます。「一郎君」と書いた当時少年だった山口さんを探し当てたのです。一郎君の名字は中田。中田一郎。その後は、次々と寄せ書きをした人たちがわかっていきました。
一郎君の写真を見たいと思った木原さんは、母親のそれからを調べます。そして、たどり着いた仏壇の引き出し。戦地から送られてきた中田一郎君の写真。裏を返すと、母親の文字で、「中田一郎 たいせつ」とありました。
こんな出来事がいったいどれだけあったことでしょう。戦争を引き起こしたのは兵士ではありません。一つ一つの命に想像力を働かせられない為政者たちです。
この絵本は、戦争を描いていると同時に、新聞記者の仕事の大切さと、その方法も描いています。
単行本化を、ぜひ。
「わたしは新聞記者です」という始まりが、この絵本の覚悟をよく示しています。
日章旗には「一郎君」とあります。一郎だから長男でしょうか。そして、寄せ書きをしてくださった人々の名字から静岡県の人ではないかと当たりをつけます。図書館に出かけ戦前の静岡県の電話帳を借り、寄せ書きの名前と一致する方の住所を調べて一軒一軒出かけていきます。もちろん、もう亡くなっている人もいらっしゃいます。
木原さんは来る日も来る日も人々を探し、たずね歩きます。そうしてようやくご存命の人と巡り会う。松永さん。しかし彼には記憶がありません。そして日章旗に名前を書いたことを後悔しています。名座ならそれは「お国のために死んでこい」ということだからです。松永さんもまた出征し、特攻隊に配属されたのです。
木原さんの努力が実る日が来ます。「一郎君」と書いた当時少年だった山口さんを探し当てたのです。一郎君の名字は中田。中田一郎。その後は、次々と寄せ書きをした人たちがわかっていきました。
一郎君の写真を見たいと思った木原さんは、母親のそれからを調べます。そして、たどり着いた仏壇の引き出し。戦地から送られてきた中田一郎君の写真。裏を返すと、母親の文字で、「中田一郎 たいせつ」とありました。
こんな出来事がいったいどれだけあったことでしょう。戦争を引き起こしたのは兵士ではありません。一つ一つの命に想像力を働かせられない為政者たちです。
この絵本は、戦争を描いていると同時に、新聞記者の仕事の大切さと、その方法も描いています。
単行本化を、ぜひ。